富家村(読み)ふけむら

日本歴史地名大系 「富家村」の解説

富家村
ふけむら

[現在地名]野市町本村ほんむら

なかノ村の北、聞楽きくらく(三六八・三メートル)の南麓にあり、南部を山北やまぎた川が西流。村中央部に黒谷くろだに池・松葉谷まつばだに池があって灌漑用水の役割を果す。「土佐州郡志」は「東西五町余南北十町余、戸凡九十余、其土多砂」と記す。南に耕地が広がるが地味痩薄で用水に乏しく、米麦栽培にはあまり適しない。村の中央部を東北から西南に富家往還(現県道山北―野市線)が通る。中世香宗我部こうそがべ郷に含まれ、天正一六年(一五八八)の香宗分地検帳にみえる富家村・黒谷村・光明院村・松重村の地にあたると考えられる。


富家村
ふけむら

[現在地名]加西市和泉町いずみちよう

河原かわら村の南、普光寺ふこうじ川中流域にある。街道の要衝に位置し、早くから宿場的な性格を有した。中世は多可たか庄内一村であった。「蔭涼軒日録」延徳三年(一四九一)九月一九日条によると、光照こうしよう(現京都市上京区)多可庄は富家村を中核とする一二ヵ村で構成されており、富家庄ともよばれることがあったらしい。貞和三年(一三四七)六月二四日の刑部守延譲状(広峯文書)には「布気庄」と記されている。富家村を名字の地とする光照院の被官人富家民部丞は、庄官としての職務を怠って所帯を没収され、のち敵対行動をとっている(永正一〇年五月一九日「光照院納所奉書案」長浜文書)。文禄四年(一五九五)八月一七日の豊臣秀吉知行方目録(木下家文書)には「ふけ池上村」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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