(1)中世,所領や所職(職(しき))を含めた広い意味での財産をいう。〈所領,所帯〉とあるときは所職のほうに意味がかかり,〈所帯,所職〉とあるときは所領のほうに意味がかかる。もともとは〈所帯の〉という形容詞的用法が主であり,〈個人の帯する所の〉という程度の意味であったが,さらにその帯する所のものとしての名詞的用法が多くなると,中世における所領,所職という財産形態の発展にともなってそれらの財産を指し示すようになった。すなわち官職や領家職,下司職等の諸職(所職)についてまず所帯と使われるようになり,さらにそれら諸職の運用・知行の客体となる不動産(所領)についても所帯と呼ぶようになり,こうして単に所帯といえば,その個人の所有する財産全般をさすにいたった。鎌倉幕府が御家人に対する刑罰として所帯没収を定めているのはこれに相当する。
執筆者:五味 文彦(2)近世以降では,一家を構えて独立した生計を営むことをさすようになり,〈所帯する〉と動詞形でも用いられた。現代では住居と生計を同じくする者の集団をさすが,これについては〈世帯(せたい)〉の項目を参照されたい。
執筆者:編集部
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…その結果,本拠世帯から別れて生活している別居家族員についての考察は,戸田によっては十分に展開されることなく残され,第2次大戦後に批判される点となる。 世帯は,明治期における日常用語としての所帯(しよたい)が転化して,一般に使用されるようになったものである。所帯の語源は,鎌倉時代の荘園における土地財産を意味する〈所帯の職(しき)〉の略称とされる。…
…(1)無足,無足の仁,無足の輩,無足の族(やから),無足衆ともいう。日本中世で主従関係を結びながら知行する所領,所帯を与えられていない下級の家臣。〈足〉は家臣として課役をつとめる義務を負う所領のこと。…
※「所帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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