寒晒し(読み)カンザラシ

デジタル大辞泉 「寒晒し」の意味・読み・例文・類語

かん‐ざらし【寒×晒し】

寒中穀類や布などを水や空気にさらしておくこと。 冬》
寒晒かんざらし粉」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「寒晒し」の意味・読み・例文・類語

かん‐ざらし【寒晒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 寒中、戸外に物をさらしておくこと。また、そのようにして作る食品。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「寒ざらししてもや氷るもち月よ〈休音〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)六)
  3. 寒気にふきさらしになること。
    1. [初出の実例]「寒(カン)ざらしの伊左衛門少もくるしからね共」(出典浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上)
  4. ( しりをはしょって寒気にさらされているところから ) 奴(やっこ)などの貧寒な者をののしっていう語。
    1. [初出の実例]「人の女房にほでをさす寒(カン)ざらしめ」(出典:浄瑠璃・倭仮名在原系図(1752)四)
  5. 寒声(かんごえ)、寒弾(かんびき)、寒ざらいなどをからかっていう語。
    1. [初出の実例]「やかましい物三味線の寒ざらし」(出典:雑俳・柳多留‐一三四(1834))
  6. かんざらしこ(寒晒粉)」の略。
    1. [初出の実例]「あな嬉しやな餠いはふ比 不食せし時分は去年の寒(カン)さらし」(出典:俳諧・新増犬筑波集(1643)油糟)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒晒し」の意味・わかりやすい解説

寒晒し
かんざらし

寒(かん)のうちに新たに汲(く)み取った井戸水(寒水)に、米などの穀類やジャガイモ、ショウガなどを浸(つ)けて置き、のち陰干しにすること。とくに、米を石臼(いしうす)で挽(ひ)いて粉にし、寒水に浸けて洗い、毎日水を取り替えて1週間ほど晒し、陰干しにして寒気に晒すことをいう。これが白玉粉(しらたまこ)の寒晒粉で、脂肪分が減って粒子が細かいのが特徴である。このほか、豆腐、餅(もち)などを寒晒しにして凍り豆腐、凍り餅をつくり、また寒中に搗(つ)いた寒餅は長く貯蔵ができ、寒中に搗いた米には穀象(こくぞう)(コクゾウムシ)がわかないといって寒搗きが行われたが、今日この習慣はほとんどとだえた。

[宇田敏彦]

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