糯(もち)精白米を原料とする粉。昔は、冬の寒さの厳しいころに、清水にさらしてつくられていたところから寒晒粉(かんざらしこ)の名もあるが、現在は一年中製造されている。原料米を水洗し、1~2日水に浸したものを、水をかけながら石臼(いしうす)で摩砕する。次に篩(ふるい)にかけて水に浸し、毎日水をかえて攪拌(かくはん)と沈殿を繰り返し、精製する。これを圧搾機で強く絞って水分を除き、乾燥して塊を砕き製品とする。寒中につくられたのは、製造中水を多く使うので、腐敗、発酵を防ぐためである。良質のものは白色で光沢がある。成分はデンプンを主としているので、ただの糯粉よりも消化がよい。また特有の風味をもつ。白玉粉はほかの米粉と比べて、粒子がたいへん細かいので、団子にしたとき、見た目がつややかで、舌ざわりも滑らかである。白玉粉は塊状をしているので、料理に使用するときは、水を加えてしばらく置き、均一に吸水させてからこねるようにする。菓子用、料理用のほか、病人や乳幼児の食べ物としても用いられる。
[河野友美]
もち米を洗って水を切り,水を加えながら石臼で磨砕(水びきという),これを3~10日水でさらし,布袋でしぼって天日乾燥してつくった粉。厳寒期につくったので寒ざらし粉ともいい,河内(かわち)観心寺の名物だったため,観心寺粉とも呼ばれた。現在では熱風乾燥によって一年中生産されている。水でこねて一口大にまるめ,熱湯でゆでたのが白玉だんご(略して白玉とも)で,汁粉に入れるなどして食べる。江戸の町で夏になると〈ひゃっこい,ひゃっこい〉と呼んで歩いた水売りは,冷たい水にこのだんごと砂糖を入れたものであった。求肥(ぎゆうひ)をはじめとして和菓子に多用されるが,《精進献立集》(1824)には,おろしワサビ入りの白玉だんごを吸物に使うことが見えている。なお,白玉粉に近いものに餅粉がある。これは水洗いしたもち米を風乾したあと,杵でついたもので粒子がやや粗く,うぐいす餅や求肥の材料とされる。
執筆者:鈴木 晋一
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…米の粉はおもに和菓子の材料として使われている。うるち米を水洗し臼びきして得られる糝粉(しんこ),もち米を水洗し臼びきし多量の水で洗った後乾燥した白玉粉,餅またはもち米を蒸してから乾燥し石臼で粗びきした道明寺粉などがそれである。このほかうるち米の粉を原料としためんの一種であるビーフン,うるち米を蒸して乾燥したα米,同じようにもち米から作る即席餅などの製品もある。…
※「白玉粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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