日本大百科全書(ニッポニカ) 「対がん10か年総合戦略」の意味・わかりやすい解説
対がん10か年総合戦略
たいがんじっかねんそうごうせんりゃく
1980年代に癌(がん)が日本人の死因の1位を占めるようになり、克服のための対策が急務となったために策定された国家戦略。第3次(2004~2013年度)まで策定された。1983年(昭和58)厚生大臣ら閣僚による「がん対策関係閣僚会議」が開催され、厚生省(現、厚生労働省)、文部省、科学技術庁(ともに現、文部科学省)の協働により組織された「がん対策専門家会議」の報告に基づき策定されたのが最初である(1984~1993年)。続いて1994年(平成6)には「がん克服新10か年戦略」(1994~2003年)が策定された。2000年代には全死亡に占める癌の割合が30%に上るようになり、「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の報告を受け、2004年(平成16)に国民の生涯癌罹患(りかん)率および死亡率の激減を目ざして「第3次対がん10か年総合戦略」が策定された。この戦略では、生命科学分野と連携し、発癌の要因や癌の生物学的特性など本態解明に迫る基礎研究と臨床応用研究、革新的な診断法・治療法および予防法の開発を推し進めるとともに、全国どこでも質の高い癌医療が受けられるように均霑(きんてん)化を図ることを目ざした。
[編集部]