六訂版 家庭医学大全科 の解説
封入体結膜炎、トラコーマ
ふうにゅうたいけつまくえん、トラコーマ
Inclusion conjunctivitis, Trachoma
(眼の病気)
どんな病気か
封入体結膜炎は最近、性感染症(性病)のひとつとして注目されています。尿道炎、子宮炎症などの病原体が性行為によって眼に感染するもので、成人に結膜炎を起こします。また、新生児が母親から産道感染して結膜炎を発症します。
トラコーマは、急性の結膜炎で始まり、ついには角膜(黒眼)が混濁してしまう病気で、かつて失明の主要な原因でしたが、現在では世界的に激減しています。
原因は何か
封入体結膜炎、トラコーマともにクラミジアという同じ細菌(クラミジア・トラコマチス)で起こります。
症状の現れ方
封入体結膜炎は、性器にクラミジア感染をもっている人との性行為ののち、急性の結膜炎として充血、膿性の目やに(
新生児では生後5~12日ごろ、充血、
検査と診断
結膜から採取したサンプルを顕微鏡で調べると、結膜の細胞内に特徴的な「封入体」と呼ばれる増殖する細菌の塊が見つかります。また、短時間でクラミジア抗原を検出する簡便な試薬セットもあります。サンプルからクラミジアを培養する方法もありますが、時間がかかります。
性行為の相手に、性器クラミジア感染症があるかないかの情報も重要です。新生児では、母親の性器にクラミジア感染症があります。
治療の方法
クラミジアに有効な抗生剤の点眼や眼軟膏で治療します。完治するまで数週間かかります。性器クラミジア感染症があれば、抗生剤の全身投与をします。
病気に気づいたらどうする
早めに専門医の診察を受けてください。
森 秀夫
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報