膀胱にたまった尿(膀胱尿という)を体外へ導くこと。臨床的には,外尿道口から尿道を通してカテーテル(これを導尿カテーテルという)を膀胱内へ挿入することによって行われる。導尿の目的は,前立腺肥大症,尿道狭窄などによる尿閉,手術後の尿閉や神経因性膀胱でたまった膀胱尿の除去およびその採取のほか,薬剤注入や内視鏡検査,膀胱洗浄の前処置などである。導尿カテーテルにはネラトンカテーテル,チーマンカテーテル,金属カテーテルなどがあり,それぞれ状況に応じて用いられる。これらカテーテルを挿入する場合,まず外尿道口を十分消毒し,必要に応じて尿道粘膜麻酔剤を尿道に注入したうえで,カテーテルに十分潤滑油をつけてゆっくり挿入する。頻繁に導尿が必要なこともあり,その場合,持続導尿が行われるが,細菌感染には十分注意し,閉鎖式導尿法が行われる。
執筆者:小磯 謙吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報