小児紫斑病(読み)しょうにしはんびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小児紫斑病」の意味・わかりやすい解説

小児紫斑病
しょうにしはんびょう

小児にみられる紫斑病をいう。紫斑とは皮膚の下に点状に出血したもので、他の発疹(ほっしん)との見分け方は、その上から圧迫すると紫斑の場合は色が変わらず、他の発疹では退色する。小児の紫斑病は、血管の異常によるものと、血小板の異常によるものとに分けられる。

 血管の異常による紫斑病は、血管性紫斑病、アレルギー性紫斑病ともよばれる。これは、じんま疹のような発疹に皮下出血が加わった出血性皮疹が、下肢全体、臀(でん)部、腕、肘(ひじ)などに対称的にみられる。皮疹は1~10ミリメートルの盛り上がった塊として触れ、赤褐色あるいは紫色で出血性である。点状出血や皮下出血もあり、じんま疹や皮膚の一部が浮腫(ふしゅ)のように膨れることもある。関節痛や腹痛、消化管出血が合併したり、腎(じん)出血から血尿が約半数にみられ、紫斑病性腎炎になることもある。

 血小板の異常によるものには、血小板の数が減る血小板減少性紫斑病と、血小板の数は減らないが機能が異常なためにおこる血小板異常症があるが、いずれも症状は変わらず、点状出血、皮下出血、粘膜出血、胃腸管出血、腎出血などである。血小板が減少する原因としてはおもに感染薬剤があげられる。感染にはとくにウイルス感染、すなわち麻疹、風疹水痘、流行性耳下腺(せん)炎などがあり、薬剤には抗癌(こうがん)剤、キニジンキニン、クロルサイアザイド、ジゴキシンサルファ剤などが含まれる。また白血病再生不良性貧血のときにも血小板が減少して紫斑をみることがある。

[山口規容子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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