日本大百科全書(ニッポニカ) 「小児血液疾患」の意味・わかりやすい解説
小児血液疾患
しょうにけつえきしっかん
小児期にみられる血液疾患で、その特徴は、遺伝、体質、胎児期、そして発達といった要因が大きく関与していることである。先天性あるいは遺伝性の血液疾患はいろいろあるが、代表的なものとして遺伝性球状赤血球症、酵素異常による溶血性貧血、先天性再生不良性貧血などがあげられる。
母と胎児の相互関係によって生じる血液疾患には、母と胎児の血液型不適合、とくにRh式血液型不適合、ABO式血液型不適合による新生児溶血性疾患、母体から胎児への血小板生成抑制因子の移行による先天性血小板減少性紫斑(しはん)病がある。小児期の貧血は、鉄欠乏性(食事性)貧血、感染性貧血がもっとも多い。幼児や学童の慢性貧血には、白血病や再生不良性貧血がある。小児の白血病は、2~6歳に発症することが多く、95%は急性型で、細胞未分化型が大半を占めている。
血液凝固因子の先天性欠乏は、血友病以外はまれである。血友病Aは第Ⅷ因子欠乏、血友病Bは第Ⅸ因子欠乏で、いずれも伴性潜性遺伝であり、早く確定診断する必要がある。
紫斑病は幼児、学童に多く発症し、自然治癒することが多いが、慢性に移行したり、腎(じん)合併症が続発する危険があるので注意を要する。
[山口規容子]