食の医学館 「小児貧血」の解説
しょうにひんけつ【小児貧血】
《どんな病気か?》
〈赤血球中のヘモグロビンが減って酸素不足の状態に〉
血液には、酸素を体の各組織に運搬するというたいせつな役割があります。肺に吸い込まれた酸素は、赤血球(せっけっきゅう)に含まれるヘモグロビンと結合して体のいろいろな組織に運ばれていきます。
貧血(ひんけつ)とは、このヘモグロビンの量が減ったために、酸素を運搬する力が低下した状態をいいます。
貧血になると、血液中の酸素不足を補おうとするため、心臓や肺に負担がかかり、体がだるい、ちょっとした運動でも動悸(どうき)や息切れがする、などの症状がでます。
貧血にはいくつかの種類がありますが、子どもによくみられるのは「鉄欠乏性貧血」です。これは、ヘモグロビンの合成に欠かせない鉄分が不足して起こります。
とくに思春期の子どもは、体が急激に成長することから、鉄分が不足しがちになります。
鉄分を多く含む食品を、ふだんから食べさせるようにしましょう。
貧血を起こしたと思われるときの対処のしかたは、(1)けがはないか調べる、(2)衣類をゆるめる、(3)体を水平にして寝かせる、(4)保温する、(5)気がついたときはあたたかいお茶かコーヒーを飲ませる、などです。
《関連する食品》
〈肉や魚に含まれる鉄は、野菜の鉄よりも吸収率が高い〉
○栄養成分としての働きから
食品に含まれる鉄には、肉や魚などの動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。もともと鉄の吸収率は8%前後と低いのですが、ヘム鉄の吸収率は23~35%と高いのが特徴です。
したがって鉄の摂取量をふやすには、レバーやワカサギ、アサリなどの動物性食品を中心にとるといいでしょう。
またホウレンソウ、コマツナ、高野どうふなどに多く含まれる非ヘム鉄は、動物性たんぱく質やビタミンCをいっしょに摂取することで、吸収率を高めることができます。
ビタミンCは、イチゴ、オレンジ、コマツナ、ブロッコリーなどに多く含まれています。たとえば食後にオレンジジュース1杯を飲むだけでも、効果がちがってきます。
ほかに、赤血球をつくる際に必要な葉酸(ようさん)やビタミンB12が不足しても、異常に大きな赤血球が現れ、それが成熟しないまま死滅してしまうために貧血になる「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」をまねいてしまいます。
葉酸はレバーやホウレンソウに含まれ、ビタミンB12はレバーやアサリなどに多く含まれています。ウナギとホウレンソウをたまごとじにするなどのメニューで、効率よくとることができます。