日本歴史地名大系 「小幡郷」の解説 小幡郷おばたごう 滋賀県:近江国神崎郡小幡郷「和名抄」は諸本とも訓を欠く。「神崎郡志稿」はヲハタはヲハリタ、すなわち小墾田の略とする。元久元年(一二〇四)四月二三日の九条兼実置文(九条家文書)にみえる「女院庁分御領」の「近江国小幡位田」、「華頂要略」所蔵の承久三年(一二二一)四月八日の延暦寺政所下文にある「当年馬上小幡之住人字惣案主」の小幡は、いずれも当郷に関係するものであろう。現五個荘(ごかしよう)町に遺称とみられる小幡の地名が残るため、諸書とも小幡周辺にあてる。「八日市市史」は小幡の北方、愛知(えち)川沿いにある同町簗瀬(やなぜ)の字蔵(くら)ノ町(まち)を延暦一四年(七九五)閏七月一五日の太政官符(「類聚三代格」巻一二)などで規定された郷の「倉院」跡と想定する。 小幡郷おばたごう 京都府:丹波国何鹿郡小幡郷「和名抄」にみえるが、高山寺本・刊本とも訓を欠く。同書に長門国厚狭郡小幡郷を「乎波多」と訓ずるのに従う。郷域は由良川右岸の支流犀(さい)川西方の丘陵地帯、東北は物部(ものべ)郷、南は栗村(くりむら)郷および私部(きさいちべ)郷、西は山稜で天田郡および加佐郡と境界を分ける。 小幡郷おばたごう 山口県:長門国厚狭郡小幡郷「和名抄」高山寺本・刊本ともに「小幡」と記し、いずれも「乎波多」と訓じているので、「おはた」と読んでいたのであろう。「大日本地名辞書」は「今生田村などにや。厚狭の西にして、古の埴田駅なり」とするが、根拠とする埴田(はにた)駅は小路の駅家であるから、おそらく埴生(はぶ)駅の誤りであろう。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by