小長曽陶器窯跡(読み)こながそとうきかまあと

国指定史跡ガイド 「小長曽陶器窯跡」の解説

こながそとうきかまあと【小長曽陶器窯跡】


愛知県瀬戸市東白坂町にある窯跡。瀬戸市東部の丘陵に位置する古瀬戸の窯跡で、わが国を代表する陶器窯である。この窯は室町時代に長いトンネル状の窖窯(あながま)として構築され、文献には近世にも利用されたことが記されており、窯跡に残る通焔口はその際の遺構と考えられる。瀬戸市周辺ではこれまでに800基の古窯が発見されているが、古瀬戸の時期に属するのは100基前後で、大部分盗掘などによって破壊されており、この窯跡はもっとも保存状態がいいものの一つである。窯は丘陵の斜面を利用した半地下式の構造で、発掘調査の結果、全長6.7m、最大幅3m、燃焼室と焼成室の境に分焔柱を、焼成室と煙道(または第2焼成室)の境には障壁を設けて全体を3部分に分けていた。焼成室と煙道の境にある障壁は、下部に6個の通焔口を設けており、このような通焔口をもつ障壁は古瀬戸窯跡には珍しく、のちの連房式登り窯の先駆形態といえる。窯前面の灰原には多量の陶片が残り、出土品には灰釉(かいゆう)の四耳壺(しじこ)、瓶子(へいし)、水注、仏花器、おろし皿などがあって、陶器にはほとんど文様がなく、古瀬戸焼のなかでは比較的新しい時期のものと考えられる。窯体部分が1971年(昭和46)に国の史跡に指定され、その後の確認調査で隣接地に斜面を造成した工房跡と窯体周辺に広がる灰原が確認され、工房には3時期にわたる作業面があった。工房と灰原は窯体と一体のものであり、生産技術や製品の技法や器種組成、工人組織を知るうえで大きな意義があることから、工房と灰原を含めた範囲が、2002年(平成14)に追加指定された。名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅から名鉄バス「雲興寺下車、徒歩約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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