江戸後期の戯作者。本名は岩瀬百樹。字は鉄梅。通称は相四郎。別号は涼仙,覧山など。山東京伝の弟。江戸深川に生まれる。漢学を修め書を学び,一時青山侯に仕えたこともある。篆刻を業とし,かたわら1807年(文化4)の合巻《復讐妹背山(かたきうちいもせやま)物語》を処女作として,《隅田春芸者容気(すだのはるげいしやかたぎ)》(1819)その他演劇種の多くの作を残したが,とくに《大晦日(おおみそか)曙草紙》(1839-59),《教草(おしえぐさ)女房形気》(1846-58)など,晩年における婦女子向きの平易で温雅な教訓をふくめた長編作の多くに特色ある作風を示した。また随筆《歴世女装考》(1847)は,風俗考証として今日もなお高く評価される。
執筆者:水野 稔
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江戸後期の合巻(ごうかん)作者。山東京伝の弟で、本名岩瀬百樹(ももき)、字(あざな)は鉄梅、通称相四郎、別号に山東庵(あん)、山東舎、鉄筆堂など。1807年(文化4)刊『復讐妹背山物語(かたきうちいもせやまものがたり)』を処女作として50余部の合巻を執筆している。初めは兄京伝に倣って二、三の読本(よみほん)や滑稽本(こっけいぼん)の作もあるが、16年京伝が没してのちは敵討物(かたきうちもの)の合巻に専心し、晩年は『昔模様娘評判記』(1835~42、全6編)、『大晦日曙草紙(おおみそかあけぼのぞうし)』(1839~59、全26編)、『教草女房形気(おしえぐさにょうぼうかたぎ)』(1846~58、全20編)など、浮世草子(うきよぞうし)の気質物(かたぎもの)の作風に倣った長編合巻を多く執筆した。柳亭種彦(りゅうていたねひこ)、曲亭馬琴(きょくていばきん)に次ぐ合巻作者であるが、作風は婦女子を対象として教訓的である。ほかに風俗考証の好著『歴世女装考』(1847成)がある。
[神保五彌]
『『教草女房形気』(1935・有朋堂文庫)』
(中野三敏)
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…文筆の才に恵まれており,越後の風土を描いた《北越雪譜》(1836‐42)は,雪国の自然や生物,機織業やサケ漁,古い民俗信仰の実態などをまとめた名作として知られている。牧之は江戸の文人との交流が深く,滝沢馬琴,大田南畝,山東京山,十返舎一九,式亭三馬との親交が知られている。《北越雪譜》は,京山が文章に目を通し,さし絵も,京山の子京水が筆をとっている。…
※「山東京山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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