山東京山(読み)サントウキョウザン

デジタル大辞泉 「山東京山」の意味・読み・例文・類語

さんとう‐きょうざん〔‐キヤウザン〕【山東京山】

[1769~1858]江戸後期戯作者。江戸の人。本名岩瀬百樹いわせももき京伝の弟。篆刻てんこく本業としながら、合巻復讐妹背山かたきうちいもせやま物語」「教草女房形気」、風俗考証「歴世女装考」などを著した。

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精選版 日本国語大辞典 「山東京山」の意味・読み・例文・類語

さんとう‐きょうざん【山東京山】

  1. 江戸後期の戯作者。本名は岩瀬百樹(ももき)山東京伝の弟。篆刻(てんこく)を業とした。処女作の合巻「復讐妹背山(かたきうちいもせやま)物語」をはじめ、「教草女房形気(おしえぐさにょうぼうかたぎ)」などの教訓的な合巻の作があり、柳亭種彦につぐ長篇合巻作者。明和六~安政五年(一七六九‐一八五八

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改訂新版 世界大百科事典 「山東京山」の意味・わかりやすい解説

山東京山 (さんとうきょうざん)
生没年:1769-1858(明和6-安政5)

江戸後期の戯作者。本名は岩瀬百樹。字は鉄梅。通称は相四郎。別号は涼仙,覧山など。山東京伝の弟。江戸深川に生まれる。漢学を修め書を学び,一時青山侯に仕えたこともある。篆刻を業とし,かたわら1807年(文化4)の合巻《復讐妹背山(かたきうちいもせやま)物語》を処女作として,《隅田春芸者容気(すだのはるげいしやかたぎ)》(1819)その他演劇種の多くの作を残したが,とくに《大晦日(おおみそか)曙草紙》(1839-59),《教草(おしえぐさ)女房形気》(1846-58)など,晩年における婦女子向きの平易で温雅な教訓をふくめた長編作の多くに特色ある作風を示した。また随筆《歴世女装考》(1847)は,風俗考証として今日もなお高く評価される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山東京山」の意味・わかりやすい解説

山東京山
さんとうきょうざん
(1769―1858)

江戸後期の合巻(ごうかん)作者。山東京伝の弟で、本名岩瀬百樹(ももき)、字(あざな)は鉄梅、通称相四郎、別号に山東庵(あん)、山東舎、鉄筆堂など。1807年(文化4)刊『復讐妹背山物語(かたきうちいもせやまものがたり)』を処女作として50余部の合巻を執筆している。初めは兄京伝に倣って二、三の読本(よみほん)や滑稽本(こっけいぼん)の作もあるが、16年京伝が没してのちは敵討物(かたきうちもの)の合巻に専心し、晩年は『昔模様娘評判記』(1835~42、全6編)、『大晦日曙草紙(おおみそかあけぼのぞうし)』(1839~59、全26編)、『教草女房形気(おしえぐさにょうぼうかたぎ)』(1846~58、全20編)など、浮世草子(うきよぞうし)の気質物(かたぎもの)の作風に倣った長編合巻を多く執筆した。柳亭種彦(りゅうていたねひこ)、曲亭馬琴(きょくていばきん)に次ぐ合巻作者であるが、作風は婦女子を対象として教訓的である。ほかに風俗考証の好著『歴世女装考』(1847成)がある。

[神保五彌]

『『教草女房形気』(1935・有朋堂文庫)』

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朝日日本歴史人物事典 「山東京山」の解説

山東京山

没年:安政5.9.24(1858.10.30)
生年:明和6.6.15(1769.7.18)
江戸後期の戯作者。本名は岩瀬百樹。別号は鑾山,涼仙など。江戸深川木場の質屋伊勢屋の次男で,その兄である長男が山東京伝である。青年時は他家を継いで武家勤めをし,書家佐野東州の婿養子となったりしたが,いずれも続かず,文化初年(1804年ごろ)から兄京伝に倣って戯作界に入り,合巻の世界で活躍。京伝没後もおおいに盛行し,百六十余種の作品を刊行している。一方,篆刻家としても名をなし,京伝の店の営業も受け継いで,温厚な人柄によって重んじられた。その作風は常識的教訓と温雅な筆致による長編合巻に長じていたと評される。

(中野三敏)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山東京山」の解説

山東京山 さんとう-きょうざん

1769-1858 江戸時代後期の戯作(げさく)者。
明和6年6月15日生まれ。山東京伝の弟。黒鳶(くろとび)式部の兄。兄にたすけられて篆刻(てんこく)業のかたわら戯作をかく。「大晦日曙(おおみそかあけぼの)草紙」など,おおくの合巻(ごうかん)をのこした。風俗考証の随筆に「歴世女装考」がある。安政5年9月24日死去。90歳。江戸出身。姓は岩瀬。名は百樹(ももき)。字(あざな)は鉄梅。通称は相四郎。別号に涼仙,覧山,山東庵。

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367日誕生日大事典 「山東京山」の解説

山東京山 (さんとうきょうざん)

生年月日:1769年6月15日
江戸時代中期;後期の戯作者
1858年没

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世界大百科事典(旧版)内の山東京山の言及

【鈴木牧之】より

…文筆の才に恵まれており,越後の風土を描いた《北越雪譜》(1836‐42)は,雪国の自然や生物,機織業やサケ漁,古い民俗信仰の実態などをまとめた名作として知られている。牧之は江戸の文人との交流が深く,滝沢馬琴,大田南畝,山東京山,十返舎一九,式亭三馬との親交が知られている。《北越雪譜》は,京山が文章に目を通し,さし絵も,京山の子京水が筆をとっている。…

※「山東京山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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