山田村・上別府村(読み)やまだむら・うえべつぷむら

日本歴史地名大系 「山田村・上別府村」の解説

山田村・上別府村
やまだむら・うえべつぷむら

中世、谷山たにやま郡内の村名。山田村は現鹿児島市山田町を遺称地とし、上別府村は西隣の別府べつぷ町一帯に比定される。史料には山田・上別府両村と並記してみえることが多い。文永一二年(一二七五)二月一七日、谷山地頭山田忠真(島津忠実)は谷山郡に有した所職を嫡子土用熊丸に譲った(「山田忠真譲状」山田文書、以下同文書名は省略)。建治二年(一二七六)九月一三日の山田忠真譲状によれば、谷山郡のうち「やまたのむら、ならひにきたのへふ」が忠真から二郎(宗久)に譲られている。きたのへふ(北別府)は以後上別府と称された。

建治三年九月、郡司谷山資忠は地頭が先例を破って上別府を地頭領として粟所当(年貢)を徴収しようとして百姓の身代を抑取したと訴えた(谷山資忠訴状)。これに対して弘安二年(一二七九)七月、行念(地頭代)は、古来上別府は地頭狩倉であり、地頭が開発し百姓の年貢の徴収できる土地になったとたんに郡司がその支配地であると訴えるのは不当と反論した(同年七月日行念陳状)。この訴陳が以後鎌倉期を通じて継続した谷山郡司と地頭山田氏との相論の発端であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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