岩手郡
いわてぐん
面積:二三八二・一四平方キロ
玉山村・滝沢村・雫石町・葛巻町・岩手町・西根町・松尾村
県北西部に位置し、東は九戸郡九戸村・同郡山形村・下閉伊郡岩泉町、南は盛岡市・紫波郡都南村・同郡矢巾町・同郡紫波町・稗貫郡石鳥谷町・花巻市・和賀郡沢内村、西は奥羽山脈をもって秋田県仙北郡田沢湖町、北は二戸郡安代町・同郡浄法寺町・同郡一戸町に接する。北上川上流域に属する岩手町・玉山村・滝沢村、その支流雫石川流域の雫石町、同じく赤川流域の松尾村・西根町と、馬淵川源流域の葛巻町とからなる。
〔原始〕
旧石器時代遺跡は北上高地岩洞湖畔の玉山村小石川遺跡・松尾村野駄遺跡・滝沢村鵜飼の狐洞山遺跡があり、小石川遺跡からは尖頭器・敲石、野駄遺跡からは尖頭器が出土している。縄文時代草創期の遺跡は現在のところ発見されておらず、早期は岩手町桐ヶ久保遺跡・四本木遺跡、雫石町桜松遺跡・熊野橋遺跡、滝沢村木賊川遺跡・湯舟沢遺跡・高屋敷II遺跡、玉山村日戸遺跡、西根町堀切遺跡から遺物が発見されているが、明確な遺構は発見されていない。前期ではカワシンジュガイを伴出させた岩手町秋浦遺跡、大型住居跡を含む大集落であった雫石町塩ヶ森遺跡・滝沢村湯舟沢遺跡・松尾村長者屋敷遺跡・野駄遺跡が調査されている。その他の前期遺跡として雫石町田屋館遺跡、滝沢村上篠木遺跡・高屋敷II遺跡、西根町地花遺跡などがある。中期になると全県的に遺跡の広がりがみられ、前述の大集落のほか早期・中期・後期・晩期の堆積層がわかる玉山村日戸遺跡、住居跡が全掘され、集落規模の判明した雫石町広瀬II遺跡・堂ヶ沢遺跡、円筒式土器と大木式土器が混在した松尾村水切場遺跡、そのほか葛巻町荒沢遺跡・滝沢村大畑遺跡が著名である。
縄文後期になると遺跡は一段と水際近くになってくる。良好な遺物が出土した葛巻町星野遺跡・玉山村日戸遺跡、鼻曲り土面を出土した雫石町夜明沢遺跡、多量の土製品が出土した雫石町町場遺跡、落し穴状が並列していた同町下平遺跡、出入口が判明した滝沢村卯遠坂遺跡・湯舟沢遺跡、その他西根町上斗内遺跡群・松尾村長者屋敷遺跡がある。晩期では、大型完形の遮光器土偶やその他の土製品を出土した岩手町豊岡遺跡、環状配石住居跡が検出された雫石町桜沼遺跡、多くの住居跡が検出された滝沢村湯舟沢遺跡、多くの遺物が出土した玉山村日戸遺跡・西根町地花遺跡、黒色土中の住居跡が検出できた松尾村野駄遺跡がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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