岩手県北部,岩手郡の町。人口7034(2010)。中央を北西流する馬淵(まべち)川沿いにわずかな低地があるほかは,東部の遠別岳(1235m),平庭岳(1060m)などを最高所とする標高400~800mの北上高地の山々に占められる。江戸時代は盛岡と八戸を結ぶ街道の要路にあり,また奥州街道の沼宮内(ぬまくない)と沿岸部の久慈を結ぶ街道(現,国道281号線)の宿場町として栄えた。主産業は農林業で古くから優良牛の産地として知られ,1927年製酪工場ができてから酪農地帯に発展した。ほかに山菜,シイタケなどの特産がある。江刈地区では封建的な名子制度が残存していたが,第2次世界大戦後の農地改革で消滅した。平庭岳一帯は久慈平庭県立自然公園に含まれ,ツツジやシラカバの名所となっている。
執筆者:松橋 公治
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岩手県北部、岩手郡にある町。馬淵(まべち)川上流の北上高地に位置する。1940年(昭和15)町制施行。1955年(昭和30)江刈(えかり)、田部(たべ)の2村と合併。江戸時代は八戸(はちのへ)藩領で盛岡から八戸への交通の要路にあたり、宿場町として発展した。現在も国道281号と340号が交差する。町域の大部分は森林で占められ、産業は林業と酪農を基盤とする。守山乳業製酪工場が立地し県酪農の先進地区の一つとなった。近年は北上山系大規模産業開発事業が進められ、草地造成や粗飼料生産が行われている。県立自然公園の平庭(ひらにわ)高原は、シラカバとツツジが多く、内陸部には珍しいハマナスの群生地もある。面積434.96平方キロメートル、人口5634(2020)。
[川本忠平]
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