岩手県中央部、紫波郡の町。1955年(昭和30)日詰(ひづめ)町と水分(みずわけ)、志和、古館(ふるだて)、赤石、彦部(ひこべ)、佐比内(さひない)、赤沢、長岡の8村が合併して成立。町域は東西に長く、東部は北上(きたかみ)高地、西部は奥羽山脈の山地で中央を北上川が流れ、右岸をJR東北本線、国道4号が走り、左岸を国道456号、東部丘陵を396号が通じる。また奥羽山脈の山麓(さんろく)を東北自動車道が走り、紫波インターチェンジがある。北上川流域は水田単作地帯で、東部の丘陵地帯はブドウ、洋ナシ、モモなどの果樹栽培、酪農が主。西部地域は山王海(さんのうかい)ダムによる開田を主体に酪農、野菜・園芸植物の栽培が行われ、東北自動車道の開通で中央市場へも出荷される。中心地区の日詰は盛岡藩時代には郡山(こおりやま)と称し、奥羽街道の宿駅、北上川舟運の河港として栄えた。西部の志和地区は南部杜氏(とうじ)発祥の地。文化財としては志和稲荷(いなり)、志賀理和気(しがりわけ)神社、舟久保洞窟(どうくつ)(県史跡)などがあり、「山屋の田植踊」は国指定重要無形民俗文化財。勝源院の逆ガシワ(しょうげんいんのさかさがしわ)は国指定天然記念物。このほか、城山公園、新山ゴルフ場がある。面積238.98平方キロメートル、人口3万2147(2020)。
[川本忠平]
『『紫波町史』(1972・紫波町)』
岩手県中央部,紫波郡の町。1955年日詰町,古館村など1町8村が合体して改称。人口3万3288(2010)。町域は東西に細長く,西部は奥羽山脈の支脈,東部は北上高地が占め,中央部を北上川が南流する。中心の日詰は中世に当地を支配した斯波(しば)氏の本領地で,江戸時代は奥州街道の宿駅,北上川舟運の要地として栄えた。北上川西岸の台地,扇状地は江戸時代に造られた鹿妻堰によって水田化され,1954年滝名川上流に山王海ダムが完成して開田が進み,穀倉地帯となった。近年,平野部で野菜栽培,山麓でブドウ,リンゴなどの果樹栽培,畜産も行われる。最北の式内社といわれる志賀理和気神社,斯波氏ゆかりの高水寺城跡,天然記念物に指定された勝源院の逆ガシワなどがある。JR東北本線,国道4号線が通じ,東北自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:松橋 公治
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