ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩渕悦太郎」の意味・わかりやすい解説
岩渕悦太郎
いわぶちえつたろう
[没]1978.5.19. 東京
国語学者。 1930年東京大学国文科卒業後,同大助手,東京女子高等師範学校 (現・お茶の水女子大学) 教授,第一高等学校 (現・東京大学教養学部) 教授などを経て,第2次世界大戦後は文部省に入省。 49年に国立国語研究所の創設とともに入所し,60年所長に就任,76年退職。中世を中心に,国語の音韻の歴史的変遷をテーマに多くの論文があり,『国語史論集』にまとめられている。また,現代の日本語文法の研究にいち早くコンピュータを利用し,この分野での基礎を築いた。主著に,ベストセラーとなった『悪文』 (1960) ほか,『国語概説』『国語の心』『語源散策』など,学校文法,現代語,語源に関する著書が多い。テレビ,ラジオで使われる現代語の整備として同音異語,発音,アクセントの標準を定める仕事が評価され,59年には放送文化賞を受賞。当用漢字の制定による漢字制限の緩和を提言するなど,国語審議会部会長としての国語施策や現代国語の実態調査などの活動も評価されている。
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