1934年官制によって設置された日本語改善に関する審議会。国語調査委員会(1902-13),臨時国語調査会(1921-34)の後をうけた文部大臣の諮問機関である。その諮問事項は,日本語の統制,漢字の調査,かなづかいの改定,文体の改善などで,1945年以前には〈漢字字体整理案〉〈標準漢字表〉〈新字音仮名遣(かなづかい)表〉を定め,漢語整理,日本語の横書きなどについて審議した。これらはみな実施に至らなかったが,〈当用漢字表〉〈同音訓表〉〈同字体表〉〈同別表〉および〈現代かなづかい〉など,1945年以後議決し答申した一連の改良策は,政府の採用するところとなり,民間でもまた多く従っている。同会は1949年に組織を改め,文部省設置法にもとづき,国語審議会令によって設けられる機関となり,さらに50年ローマ字調査審議会を統合した。日本語の改善,国語教育の振興およびローマ字に関する事項について調査審議し,かつ文部大臣および関係各大臣に建議することを任務とする。審議会の委員は,学識経験者および関係行政機関の職員のうちから文部大臣によって任命され,定員50人,任期2年である。このほか必要に応じて臨時委員,専門調査員を置くことができる。事務担当は文化庁の文化部国語課である。付属研究機関たる国立国語研究所(1948設置)とは性質を異にする。新審議会の議決しまた建議したものは今日までに,〈国語問題要領〉(1950),〈これからの敬語〉(1952),〈町村の合併によって新しくつけられる地名の書き方〉(1953),〈外来語の表記について〉(1954),〈かなの教え方について〉(1955),〈話しことばの改善について〉〈正書法について〉(1956),〈送りがなのつけ方〉(1958)などがある。〈公用文作成の要領〉(1951)は内閣官房長官から政府部内に配布され,〈法令用語改正例〉(1954)は法制局の法令用語改正要領として実施されている。またローマ字調査分科審議会で決定した〈ローマ字のつづり方〉(1953)は,政府が訓令(1954)で採用した。〈送りがなのつけ方〉も改定・修正をへて政府訓令(1973)で再採用した。また〈新漢字表試案〉(1977)を発表したが,1979年〈常用漢字表案〉を答申,さらに81年3月,〈当用漢字表〉(1946制定)より95字多い〈常用漢字表〉1945字を,文部大臣に最終答申した。政府はこれを受けて同年10月1日,内閣から告示し,実施に踏み切った。82年3月に発足した第15期では,〈現代かなづかい〉の見直しに取り組んだ。
執筆者:林 大
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文部大臣の諮問に応じて、国語の改善、国語教育の振興およびローマ字に関する事項を調査・審議し、これらに関して必要と認める事項を政府に建議する機関。文部省設置法に基づき、国語審議会令によって設置され、学識経験者および関係行政機関職員のうちから文部大臣が任命する50人以内の委員からなり、2年を1期として上記の事項なかんずく漢字問題・仮名遣い問題について審議を重ねた。審議し、建議する機関であったが、その答申のいくつかは政府の採用を経て内閣訓令・同告示として公布され、いわゆる国語施策として、社会・教育にかなりの影響を与えた。2001年(平成13)の省庁再編に伴い廃止、その機能は文化庁の文化審議会へと引き継がれた。
1934年(昭和9)臨時国語審議会を発展させて、文部大臣の諮問機関として設置されたのに始まるが、第二次世界大戦後、多数の臨時委員を入れて、「現代かなづかい」「当用漢字表」(ともに1946)、「同音訓表」「同字体表」、「同別表」(教育漢字表)の答申を行い、政府の採用するところとなった。49年(昭和24)改組、委員70名からなる建議機関となり、「送りがなのつけ方」「ローマ字のつづり方」を建議し、政府の採用するところとなったほか、「国語問題要領」「これからの敬語」などを出した。62年改組、以後、それまでの施策の見直しを行い、73年「送り仮名の付け方」、81年「常用漢字表」、86年「現代仮名遣い」、91年「外来語の表記」を答申、公布された。
[林 巨樹]
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…実行されて30年以上を経過し,大勢としてはもはや動かしがたく根をおろしただけに,細かい点について責任ある決定をしていく必要がある。1982年3月に発足した第15期国語審議会では,現代かなづかいの見直しが進められている。 漢字の字音についても,従来は,字音仮名遣いがあったが,これも,発音的に改められた。…
…現代における漢字使用の標準。1981年3月に国語審議会が答申した〈常用漢字表〉が,同年10月1日内閣告示第1号で公布された。その前文に〈法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等,一般の社会生活で用いる場合の,効率的で共通性の高い漢字を収め,分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安〉とある。…
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