国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人人間文化研究機構を構成する研究機関。英語名はNational Institute for Japanese Language and Linguistics、略称は国語研。1948年(昭和23)に設立された日本語の調査研究を行う機関で、2009年(平成21)から人間文化研究機構に加わっている。所在地は東京都立川市緑町。
同研究所は、人間文化研究機構傘下となって以降、「これまでの研究の蓄積を踏まえながら、研究の国際的拠点として国内および海外の大学・研究機関と大規模な理論的・実証的共同研究を展開することによって日本語の特質の全貌(ぜんぼう)を解明し、言語の研究を通して人間に関する理解と洞察を深めること」を目的としている。また、「共同研究の成果や関連する研究文献情報を広く社会に発信・提供し、日本語教育、自然言語処理など様々な応用面に寄与することも重要な使命」としている。
2005年から一橋(ひとつばし)大学との連携大学院プログラムが始まった。このプログラムは、日本人および滞日留学生を対象としており、日本語教育学、日本語学、日本文化に関する専門的な知識を備えた研究者や日本語教育者を育成することを目ざすものであり、国語研は日本語学の分野を担当している。初代所長は西尾実(にしおみのる)(在任期間は1949~1960年)。
[山内乾史 2018年5月21日]
1948年の国立国語研究所設置法の公布をもって創設された研究機関。目的は同法1条に〈国語及び国民の言語生活に関する科学的調査研究を行い,あわせて国語の合理化の確実な基礎を築くために,国立国語研究所を設置する〉と規定され,その目的を達するために2条に〈(1)現代の言語生活及び言語文化に関する調査研究。(2)国語の歴史的発達に関する調査研究。(3)国語教育の目的,方法及び結果に関する調査研究。(4)新聞における言語,放送における言語等,同時に多人数が対象となる言語に関する調査研究〉等の調査研究を行うことになっている。83年に国立国語研究所設置法は廃止されることになり,翌84年,文部省組織令が改正され国立国語研究所組織令が施行されたが,目的などの規定はほぼ同じ形で受け継がれた。現在,研究部として言語体系研究部(第1~第3研究室をもつ),言語行動研究部(第1~第3研究室をもつ),言語変化研究部(第1,第2研究室をもつ),言語教育研究部(第1研究室をもつ),情報資料研究部(第1~第3研究室をもつ),国語辞典編集室,日本語教育センター(第1~第4研究室と日本語教育研修室,日本語教育教材開発室からなる)がおかれている。ほかに庶務部がある。また実験室,図書室などを付設して,国語と国民の言語生活に関する科学的・総合的調査研究を進めている。職員は,文部教官,研究補助員等で構成されている。また所長の助言機関として評議員会がある。さまざまな研究報告,年報のほか資料集として《国語関係刊行書目(昭和17-24年)》《語彙調査》《送り仮名法資料集》《明治以降国語学関係刊行書目》《沖縄語辞典》《分類語彙表》など211冊の報告,資料などが公刊されている。1951年以来,月刊雑誌《言語生活》を監修し(1988年休刊),また54年以来,《国語年鑑》も編集している。2001年独立行政法人となる。所在地は東京都北区西が丘。
執筆者:西尾 実+水谷 修
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