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1946年(昭和21)11月から81年10月まで用いられた「当用漢字表」に掲げられた1850字の漢字。81年廃止、新しく定められた「常用漢字表」に吸収された。「当用漢字表」は、第二次世界大戦後、漢字乱用の弊を除く目的で、法令・公用文・新聞雑誌および一般社会で使用する漢字の範囲を示すとして、国語審議会の答申に基づき内閣訓令・告示として1946年に公布され、「同別表」(教育漢字881字、1948年)、「同音訓表」(1948年、のち73年改訂)、「同字体表」(當→当、藝→芸などの簡略字体採用、1949年)、「人名用漢字別表」(1951年)などを伴って、公用文、新聞その他に採用され、小・中・高の学校教育にも適用された。国語表記の簡易化を目ざす施策であったが、1974~82年の国語審議会の審議を経て、「常用漢字表」に席を譲った。当用漢字は、字体表・音訓表も含めて、それに包摂されている。
[林 巨樹]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…したがって,漢字の負担といっても無限大なのではない。そこで官庁や新聞で使用する文字を制限しようとしたものが当用漢字字(1946告示)で,義務教育のうちに書取りができるようにというのが教育漢字881字(1948告示)であるが,その選択にあたって使用頻度調査とか,複合語形成度調査とかを事前におこなわずに定めたもので,選択の基準は確立されていなかった。その後(1951),人名に用いる漢字92字が別表として追加され,後述のように字数はさらに増える。…
…漢字使用の目安というが,その目安については特に注を設けて,〈この表を無視してほしいままに漢字を使用してもよいというのではなく,この表を努力目標として尊重することが期待される〉と述べる一方で,〈この表を基に,実情に応じて独自の漢字使用の取決めをそれぞれ作成するなど,分野によってこの表の扱い方に差を生ずることを妨げない〉とも述べている。常用漢字の前身である〈当用漢字〉が〈現代国語を書きあらわすために,日常使用する漢字の範囲〉と規定されて,漢字使用を制限する趣旨が強調されたのに対して,今度はゆるやかな標準として示された。当用漢字表が終戦直後の革新的情勢に対応するのに対して,常用漢字表は戦後30年続いた泰平的ムードに対応する。…
…初期のワープロがいちいち漢字か仮名か字種を選定(指定)するようにつくられていたのもこの表記意識の反映である。また,国語審議会の〈正書法について〉という報告(1956年7月5日)が反発を招いて,当用漢字表以下の見直しを迫られるにいたったのもそのためと考えられる。しかし,現代では,《万葉集》で5通りに書かれた〈山〉が〈山〉一つに定着しつつある。…
※「当用漢字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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