工場抵当法(読み)こうじょうていとうほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「工場抵当法」の意味・わかりやすい解説

工場抵当法
こうじょうていとうほう

一般的な抵当権制度の不備を補い、工業企業の金融において工場施設を効率的に担保化できるようにするため、1905年(明治38)に制定された法律で、狭義工場抵当工場財団抵当制度とについて規定する。狭義の工場抵当とは、工場に属する土地または建物に設定された抵当権の効力が、その土地または建物のほか、それに付加して一体になっているものと、その土地または建物に備え付けられた機械器具その他工場の用に供される物にも及ぶという仕組みである。工場財団抵当制度とは、同法の列挙する工場の物的設備権利などのなかから、工場所有者が任意に選択して工場財団目録に記載した物・権利によって、工場財団が組成され、その工場財団のうえに抵当権の設定されることを認める仕組みである。ともに、盛んに活用され、現在でも重要な機能を果たしているが、工場財団抵当制度は、企業規模の増大につれて、財団組成手続が煩雑な点で問題を残し、新たな企業担保制度が生まれるに至っている。

[福原紀彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「工場抵当法」の意味・わかりやすい解説

工場抵当法
こうじょうていとうほう

明治 38年法律 54号。工場に属する諸財産を一括して財団となし,その上に抵当権の設定を認めている特別法。同法は,抵当権の目的とするため1個または数個の工場につき工場財団 (工場に属する土地,工作物,機械器具その他の付属物,地上権,工業所有権などをもって組成される) を設定することができる旨を規定し (8~28条) ,また財団を組成しない工場に属する土地,建物の上に設定された工場抵当権は,原則としてこれに付加して一体をなした物,およびそれに備付けた機械,器具,その他工場の用に供する物に及ぶ旨を規定している (2~7条) 。

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