デジタル大辞泉
「差引き」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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さし‐ひき【差引・指引】
- 〘 名詞 〙
- ① 差したり引いたりすること。突いたり引いたりすること。
- [初出の実例]「何(いか)にして死たるにか有らむ。疵も无しなど云て、弓を以て差引(さしひき)など為るを」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
- ② 指図すること。差配をすること。
- [初出の実例]「三軍の軍勢をあちせいこちせいすすめしりぞけと云ことを扇を以てなりをしてさしひきをしたことぞ」(出典:玉塵抄(1563)二五)
- ③ 進むことと退くこと。かけひき。
- [初出の実例]「故に秋は軍陣のさしひきをならわるぞ」(出典:古文真宝笑雲抄(1525)一)
- ④ 増減すること。とくに、潮の満ち干や体温などが上下したりすること。
- [初出の実例]「シヲノ saxifiqi(サシヒキ)〈訳〉潮の満ち干」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- 「それに此子が熱のさし引」(出典:浄瑠璃・日本振袖始(1718)四)
- ⑤ ある分量から一部分を減らすこと。
- [初出の実例]「サンヨウノ saxifiqi(サシヒキ)〈訳〉計算して引くこと」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- 「差引きした残りの物質はどうなったか分らない」(出典:簑虫と蜘蛛(1921)〈寺田寅彦〉)
- ⑥ 金銭の過不足の計算をすること。収支の計算をすること。損得の勘定をすること。また、その結果。
- [初出の実例]「たがひにとりやりのさし引する事、例年なり」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)四)
- 「差引七十銭五厘がまだ蝦蟇口の中に残って居た」(出典:田舎教師(1909)〈田山花袋〉三)
- ⑦ 物事の損得をはかること。
- [初出の実例]「取舎は事のさしひきをよく知たぞ」(出典:史記抄(1477)一五)
- ⑧ 収支の計算をしたあと、借金が残ること。負債。
- [初出の実例]「弐拾万両のさし引を、年歩にて済す両替屋も有」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)六)
- ⑨ 簿記で、貸借のうち、金額の大きい方から小さい方を引いて、収入または支出どちらかの残高を出すこと。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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