帯留(読み)おびどめ

精選版 日本国語大辞典 「帯留」の意味・読み・例文・類語

おび‐どめ【帯留】

〘名〙
① 女性の帯の上を、おさえしめる平打ちのひも。両端金具があってかみ合わせるようになっている。また装飾のための、その金具。おびかけ。
人情本・清談松の調(1840‐41)二「帯留(オビドメ)は、緋の絞りばなし縮緬」
② 刀の鞘(さや)部分の名。刀身を抜くとき、鞘が帯から抜け出さないように突起させた所。折金(おりがね)。生帰(おいかえり)。かえりづの。〔随筆松屋筆記(1818‐45頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「帯留」の意味・読み・例文・類語

おび‐どめ【帯留(め)】

帯締めの、結ばないで貴金属製などの金具で留めるもの。また、その金具。また、平打ちのひもに通して帯の前面につける、さんご・めのう・宝石などの飾り。
刀を抜いたとき、さやを帯に留めるため、鞘にとりつけた角・木・金属製の鉤状かぎじょうのもの。折りがね

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「帯留」の意味・わかりやすい解説

帯留
おびどめ

帯締と同じく、帯が解けるのを防ぐために用いるが、紐(ひも)先に金具のついているものをいう。パチン留ともいい、絹の平打ちの紐先の両端に金具の台座がつく。紐の長さは体型にあわせて調節できるようにつくり、両端の金具をひっかけるようにして留める。金具は金、銀、プラチナ真鍮(しんちゅう)などに、花、動物、流水などが彫られている。明治中期以降には、パチン式の留め金具に似せた細工物を紐に通したものが多く現れた。細工物はサンゴ、ひすい、べっこう、象牙(ぞうげ)、そのほか宝石、木、金属、陶器七宝(しっぽう)などさまざまな材料が用いられる。帯留は正装には使用されず、趣味の街着、ちょっとした訪問などに用いる。

[藤本やす]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の帯留の言及

【帯】より

…現在でも行われている文庫結びは宝暦・明和(1751‐72)のころに始まったと伝えられているし,また,最も一般に普及している太鼓結び(お太鼓結び)は,1813年(文化10)江戸亀戸天神の太鼓橋が再建されたとき,芸者衆がそれにちなんで結んだ帯の形であるといわれている。また後帯が年齢にかかわらず多くなったのも,文化・文政(1804‐30)からであり,帯留をするようになったのも,ほぼこのころからである。ちなみに《都風俗化粧伝》(佐山半七丸著,速水春暁斎画。…

※「帯留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android