デジタル大辞泉 「幸ふ」の意味・読み・例文・類語 さき‐わ・う〔‐はふ〕【▽幸ふ】 《「わう」は接尾語》[動ハ四]幸運にあう。豊かに栄える。「言霊ことだまの―・ふ国と語りつぎ」〈万・八九四〉[動ハ下二]幸運を与える。栄えさせる。「いかしの御世に―・へ奉まつれ」〈祝詞・出雲国造神賀詞〉 さい‐わ・う〔‐はふ〕【幸ふ】 [動ハ四]《「さきわ(幸)う」の音変化》幸運にめぐりあう。栄える。特に、女性が結婚をして幸せになる。「御娘八人おはしき。みなとりどりに―・ひ給へり」〈平家・一〉 ち‐わ・う〔‐はふ〕【▽幸ふ/▽護ふ】 [動ハ四]《「ち」は霊力の意》神が霊力を発揮して守ってくださる。「男神ひこかみも許し給ひ女神ひめかみも―・ひ給ひて」〈万・一七五三〉 さき‐はう〔‐はふ〕【▽幸ふ】 [動ハ四・ハ下二]⇒さきわう ち‐は・う〔‐はふ〕【▽幸ふ】 [動ハ四]⇒ちわう 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「幸ふ」の意味・読み・例文・類語 さい‐わ・う‥はふ【幸】 ( 「さきわう」の変化した語 )[ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ゆたかに栄える。幸福に栄える。中世では、女性が男性の愛情を受けて、幸福な結婚をしていることにいう場合が多い。[初出の実例]「神霊の祐(サイハフ)所なり」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))「其外御娘八人おはしき。皆とりどりに幸(サイハイ)給へり」(出典:高野本平家(13C前)一)[ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 幸運を与える。幸福をもたらす。[初出の実例]「故れ、預(あらかし)め、明徳(よきひと)を選びて、玉(きみ)を立てて弐(まうけきみ)と為(し)たまへり。祚(サイハヘ)たまふに嗣(みつき)を以てし、授けたまふに、民を以てしたまふ」(出典:日本書紀(720)仁徳即位前(前田本訓)) さき‐わ・う‥はふ【幸】 [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 幸運にあう。豊かに栄える。幸福になる。さちわう。[初出の実例]「言霊(ことだま)の 佐吉播布(サキハフ)国と 語り継ぎ 言ひ継がひけり」(出典:万葉集(8C後)五・八九四)[ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 幸運を与える。栄えさせる。幸いがあるようにする。さちわう。[初出の実例]「此の物は天に坐(ま)す神、地(くに)に坐す祇(かみ)の相うづなひ奉(まつ)り、福波倍(さきハヘ)奉る事に依りて」(出典:続日本紀‐和銅元年(708)正月一一日・宣命) さき‐は・う‥はふ【幸】 [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 ⇒さきわう(幸)[ 2 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ⇒さきわう(幸) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例