胃の幽門部と腸の始部の境界付近にある細い盲嚢(もうのう)。腸盲嚢ともよばれる。硬骨魚類に特有な消化器官で、円口(えんこう)類や多くの軟骨魚類にはみられない。構造は腸管によく似ており、トリプトシン様酵素、アミラーゼ、マルターゼ、リパーゼなどの消化酵素を分泌し、その活性もかなり強い。上皮細胞から消化した食物の活発な吸収がみられることから、食物を貯蔵するだけでなく、消化・吸収の働きも十分にある。
幽門垂は魚の運動と関連があり、活発に泳ぐイワシ、サバ、カツオなどは300~400本と多く、大きな塊(幽門垂塊)を形成している。その重さはマグロでは体重の2%、ブリで1.7%もある。また、幽門垂の上皮の表面積と腸管のそれの割合はニジマスでは70%、マダラでは69%にもなる。一般に、体が小さく運動しない底生魚では幽門垂は少なく、ウナギ、シラウオ、および無胃魚(コイ科、ダツ、サンマ、サヨリ、ベラ、ブダイなど)にはまったくない。幽門垂の数は近似した種類間でも相違があり、分類学上、重要な形質として利用される。
[落合 明・尼岡邦夫]
…円口類,板鰓(ばんさい)類など古代型の魚類ではらせん腸が形成され,その内面に発達するらせん状のひだが小腸の表面積を著しく拡大している。近代型の魚類(真骨類)では,多数の管状の幽門垂(幽門盲囊)が腸の表面積を広げている。四肢動物では小腸は著しく長くなり迂曲(うきよく)して,十二指腸,空腸,回腸に区分される。…
…腸の吸収能を高めるため,その表面積を拡大する構造として,円口類,板鰓(ばんさい)類などでは腸内にらせん弁が発達する。硬骨魚類では中腸起部に管状の幽門垂(幽門盲囊)が発達して同様な意義をもつ。四肢動物,とくに鳥類と哺乳類では腸が長くなり,部分的な特殊化を生じ,絨毛(じゆうもう)やその円柱細胞の微絨毛が発達して吸収面積を広げる。…
※「幽門垂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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