広厳院(読み)こうごんいん

日本歴史地名大系 「広厳院」の解説

広厳院
こうごんいん

[現在地名]一宮町金沢

あさひ山の山麓傾斜地に所在する。金沢かなざわの集落が寺域の南方に広がる。門前をかつて甲州道中(笹子道)と鎌倉街道(御坂道)を短くつないだ柏尾かしお道が通る。山号の妙亀山は薬師如来を背負った霊亀が池中から現れたことに由来するという。本尊聖観音。曹洞宗常法幢七ヵ寺の一。近世を通じて大泉だいせん(現甲府市)とともに年番で甲斐曹洞宗寺院八〇〇余ヵ寺の僧録司を勤めた。もと最勝さいしよう(現静岡県中伊豆町)の末。

寛正年中(一四六〇―六六)雲岫宗竜による開創。雲岫に帰依した古屋対馬守(塩田長者と称され、法名今泉道珠)開基となり(甲斐国志)、守護武田信昌も境内山林を寄進するなど(文明一九年一一月日「武田信昌寄進状」広厳院文書)、これを外護した。雲岫は最勝院開山吾宝宗の法嗣で、甲斐入国ののちは永昌えいしよう(現山梨市)開山の一華文英、竜華りゆうげ(現中道町)開山の桂節宗昌、天沢てんたく(現敷島町)開山の鷹岳宗俊などの高弟を輩出し、末派寺院六九〇余を擁する(甲斐国志)、吾宝五派の一つ雲岫派の祖となった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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