廃補陀落寺町石(読み)はいふだらくじちよういし

日本歴史地名大系 「廃補陀落寺町石」の解説

廃補陀落寺町石
はいふだらくじちよういし

[現在地名]上野市西高倉

高倉たかくら神社から約八〇〇メートル登った水上みなかみに補陀落寺があった。町石は寺の門前と推定される所を基石として畑山の加太はたやまのかぶと越奈良道までに一五基あった。「三国地志」に「廃補陀落寺 按 新坊、奥坊、観音院ノ三子院アリ、今地名存ス。亦引導碑アリ、其三町石面ニ刻曰、願主源貞増、其四刻曰、建長五年癸丑七月十日、自余六町・七町・十二町・十三町石存ス」とある。二・六・十・十一・十四の五石以外は現存し、自然石の表面に梵字・道程・寄進者名があり、基石と四丁石に建長五年(一二五三)刻銘がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「廃補陀落寺町石」の解説

はいふだらくじちょうせき【廃補陀落寺町石】


三重県伊賀市西高倉にある町石。鎌倉時代中期に市の北西、鳥居出の水上山にあった補陀楽寺跡から、奈良街道と呼ばれる旧街道に向かって1町(約109m)ごとに配置された道しるべの石で、現在は10基が残っており、寺からもっとも遠いのが15町石である。いずれも花崗岩の自然石を用いて梵字(ぼんじ)や寄進者の名などが見え、補陀楽寺に向かう老若男女の便のために信者が建てたものである。補陀落寺は建長年間(1249~55年)に高倉神社から約800m登ったところに建立された寺で、基石と高さ約110cmの4町石には町石中最古の建長5年(1253)の年号が刻まれ、全国的にも最古のものといわれている。1933年(昭和8)に国の史跡に指定された。伊賀鉄道伊賀線上野市駅から三重交通バス「鳥居出」下車、徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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