弾糸(読み)ダンシ

  • 弾糸 elater

世界大百科事典 第2版の解説

苔類およびツノゴケ類胞子囊((さく))中に胞子とともに存在する糸状の細胞。胞原細胞に由来するが,胞子と異なり減数分裂を経ないで形成される。ふつう1~数本のらせん肥厚をもち,大気中の湿度の変化に対して鋭敏に反応して伸縮する。変形菌類の一部(トリキア属)にも,胞子囊中にらせん肥厚をもつ糸状の構造があり,弾糸と呼ばれる。この弾糸は変形菌類に広く見られる細毛体の一種であり,胞子囊内に生じた多数の管状の腔所に原形質からの分泌物がたまって固まったものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胞子を散布するための特別な装置をいい、形態学的に3種類に区別される。〔1〕苔類(たいるい)の胞子嚢(のう)中に胞子に混じってみられる細長い細胞で、胞子嚢中の胞原細胞の一部が胞子にならなかったものである。〔2〕トクサ属の胞子にみられる2本の紐(ひも)状の付着物で、これは胞子の外膜がはがれて厚膜化したものであり、各中央部で付着しているため4本にみえる。〔1〕〔2〕とも吸湿性に富み、乾燥すると伸び、湿ると巻く性質がある。〔3〕真正変形菌類にみられる非原形質性の細毛体を弾糸とよぶことがあり、胞子散布の働きをもつ。

[安田啓祐]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 琴、箏など、弦を張った楽器をひくこと。
※万葉(8C後)一七・三九六一・左注「而同年十一月還到本任。仍設詩酒之宴弾絲飲楽」 〔江総‐宴楽脩堂応令詩〕
② 苔類(たいるい)の胞子嚢の中に胞子とまざって存在する胞子の散布器官。胞子嚢中の胞原組織の一部が胞子とならず糸状になったもので、吸湿性に富み、乾燥すると伸び湿ると巻く。シダのトクサ類では胞子に付着して四本のひも状体があり、これを弾糸と呼んでいる。胞子の外膜が厚化して生じたもので先端はスプーン状にふくれ、乾燥すると開き、湿ると胞子に巻きつく。

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