改訂新版 世界大百科事典 「形材」の意味・わかりやすい解説
形材 (かたざい)
sectioned material
金属材料で土木・建築における構造用に使用されるもの,装飾用に用いられるもの,また工作機械などの機械類の骨組みに用いられるものの多くは,棒材や管材のような円形断面ではなく,L字形,C字形,その他の複雑な断面形状の長手材である。これらを総称して形材といい,とくに鋼材の場合に形鋼shaped steelと呼ぶ。形鋼,棒状に圧延された棒鋼,線材,レール材などの長さがその断面の大きさに比べて著しく長い鋼材は条鋼barと総称される。
形材のうちで最も多量に生産されているのはアルミニウム合金の押出材であり,多様な断面の形材が製造され,建材,装飾用部材として活用されている。銅および銅合金の形材も,ほとんど熱間押出しによって製造されている。しかし,これらは熱間における特性がアルミニウム合金とは異なり,それほど複雑な形状の製品を押出しで作るわけにはいかない。アルミニウム合金以外の材料で複雑な断面をした形材を製造しなければならない場合には,二つの形材を長手方向に連続して溶接するなどの方法をとる。H形鋼の製造法の一つに溶接H形鋼製造法というのがあるが,これは,3本の条鋼をH形になるように位置ぎめしたうえで連続的に溶接を行って製造するものである。ほかにコの字形の形材に条鋼でふたをしてロの字形の形材にする場合にも溶接が適用される。鋼材の場合は,圧延またはロール成形法によって形材が製造される。条鋼,山形鋼,H形鋼,鋼矢板などの製品は熱間圧延によって作られる。一方,サッシュのような細い断面の複雑な形状の形材は,鋼板を冷間でロール成形して製造する。この場合,鋼板は曲げられて断面形状を整えていくのであって,圧延とよく似てはいるが,ほとんど断面積の増減は伴わない。厚さ6mm以下の長尺の鋼板を連続的に冷間成形した形鋼は軽量形鋼light gage steelと呼ばれ,プレハブ建築などの建築その他の構造物に用いられている。
執筆者:木原 諄二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報