後市(読み)ちくごし

日本歴史地名大系 「後市」の解説

後市
ちくごし

面積:四一・八五平方キロ

県南部、筑後平野の中央部、矢部やべ川中流右岸に位置する。北は三潴みづま三潴町と久留米市、南は山門やまと瀬高せたか町・三橋みつはし町、東は八女やめ市・八女広川ひろかわ町、西は三潴郡大木おおき町と接する。北部から南部に向け八女台地(洪積台地)の高位段丘から低位段丘へと連なるなだらかな傾斜地が広がり、低位段丘の間を人工灌漑河川のやま川・花宗はなむね川が西流する。南部は扇状地性の低地で、南端矢部川の自然堤防がある。西部には筑後川、矢部川水系の堆積による標高五メートル以下の三角洲性低地があり、クリーク(溝渠)網が発達している。市の中央を南北にJR鹿児島本線と国道二〇九号、東西に国道四四二号が走る。ほかに主要地方道の佐賀―八女線、久留米―筑後線、瀬高―久留米線などが通る。鹿児島本線は市域北端に西牟田にしむた駅、中央に羽犬塚はいぬづか駅、南端に船小屋ふなごや駅がある。

〔原始・古代〕

当市域の考古遺跡については八女郡を参照。矢部川右岸の低台地縁に弥生時代前期から後期に使用された溜井がある津島九反坪つしまきゆうたんつぼ遺跡がある。八女台地の西端近くにある西牟田松尾の瑞王子まつおのずいおうじ古墳群は八女古墳群の一支群とされる。また広川町と当市にまたがる一条の石人山いちじようのせきじんさん古墳は五世紀前半の前方後円墳である。律令制下では下妻しもつま郡の大半と上妻かみつま・三潴両郡の一部に属する。「和名抄」所載の上妻郡四郷のうち葛野かどの郷、下妻郡三郷のうち村部むらべ郷、三潴郡八郷のうち高家たかえ郷を市域に比定する説がある。下妻の方約二町の微高地には小字群女ぐんによ蔵屋敷くらやしきがあり、下妻郡衙が置かれたとする説がある。西海道が現在の国道二〇九号の東側を通り、鶴田の鶴田市つるだのつるだいちつか遺跡からは道路遺構が発見された。葛野駅は前津まえづ車路くるまじ付近に所在したと考えられる。下妻庄は永承二年(一〇四七)冷泉天皇によって安楽寺(太宰府天満宮)金堂に寄進された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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