洪積世(200万年前から1万年前までで,更新世ともいう)の間に形成された台地。一般に台地は大陸台地をさし,中・古生層あるいはそれ以前の古期の地層から成るが,これに対し洪積台地は洪積層の礫(れき),砂,粘土などの堆積層から成る。また大陸台地の平たん面は削剝された結果生じた浸食面であるが,洪積台地の平たん面は堆積層の表面である。洪積台地に対し相対的に低位にあり,より新期に形成された台地を沖積台地と呼ぶが,これは沖積世(1万年前より現在までで,完新世ともいう)の間に形成された低い台地を意味しており,洪積台地,沖積台地は日本で便宜的に使用されている時代区分的術語である。洪積台地には河成堆積平野,海岸平野などに属するものが含まれる。たとえば関東平野の武蔵野台地は隆起扇状地,下総台地は海岸平野であるが,いずれも洪積世に形成され,その後浸食谷によって開析された台地地形で,洪積台地といえる。洪積台地は地下水位が低く水を得にくいので,畑作地や平地林が目だつ。なお,国際的に用いられている〈沖積平野〉は時代区分的術語ではなく河成堆積平野という成因的意味をもつ。
執筆者:式 正英
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更新統(新生代更新世に形成された、火山堆積(たいせき)物を含む地層)で構成されているか、あるいは、更新統の表層で覆われ完新統からなる地形面よりも高位置にある平坦(へいたん)状地形をいう。日本では隆起した扇状地、三角州、海岸平野などを洪積台地とよぶ場合が多い。関東地方の常総(じょうそう)、武蔵野(むさしの)、相模野(さがみの)(相模原)、那須(なす)野原の諸台地、根釧(こんせん)台地(北海道)、三本木原台地(青森県)、東海地方の牧ノ原、盤田(いわた)原、三方(みかた)原、高師(たかし)原、各務(かかみ)ヶ原、天伯(てんぱく)などの諸台地、シラス台地(九州)などが知られている。しかし諸外国における台地の定義は、高い標高にある平坦状の地表面が広範囲に広がっている地形を意味し、その構成岩石や地層も新生代第三紀以前に形成されている。マト・グロッソ(ブラジル)、アレゲニ(アメリカ)、ローレンシア(カナダ)、アハガル(アルジェリア)、中央シベリア(ロシア)などの諸台地はその例である。
かつて使用されていた新生代の洪積世、沖積世の呼称が更新世、完新世にとってかえられた現在、この用語の国際的使用、教育上の視点から、日本独特の洪積台地の用語の再検討が望まれる。
[有井琢磨]
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…狭義には古期岩の水平層から成る台状の地形,すなわち〈大陸台地〉をいう。地形学的台地には大陸台地のほかに溶岩台地,石灰岩台地,火山灰砂台地,洪積台地が含まれる。日本の例では淀橋台,小日向(こびなた)台,富士見台など〈○○台〉の地名の場所は台地地形の一部で,多くは洪積台地にあたり,一方,秋吉台,平尾台,帝釈台,阿哲台などは石灰岩台地にあたる。…
※「洪積台地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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