徐禎卿(読み)じょていけい(その他表記)Xú Zhēn qīng

改訂新版 世界大百科事典 「徐禎卿」の意味・わかりやすい解説

徐禎卿 (じょていけい)
Xú Zhēn qīng
生没年:1479-1511

中国,明代の詩人。字は昌穀(または昌国)。江蘇常熟に生まれ蘇州の人となった。弘治18年(1505)の進士。祝允明唐寅とういん),文徴明らと呉中の四才子と称せられ,六朝風の繊弱な詩を作ったが,進士になってから,北京李夢陽,何景明らの詩社に入り,前七子(七子)の一人に数えられて,漢・魏・盛唐風に改めた。その《談芸録》は漢・魏の古詩を主題として論じた詩論の専著で〈詩は精神の浮英,造化の秘思〉という。陸機の《文賦》には必ずしも賛同せず,昭明太子の《文選》は〈冗に過ぎて精ならず〉,劉勰(りゆうきよう)の《文心雕竜(ぶんしんちようりよう)》は〈略にして未だ備わらず〉と批判している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「徐禎卿」の意味・わかりやすい解説

徐禎卿
じょていけい
(1479―1511)

中国、明(みん)中期の詩人。字(あざな)は昌穀(しょうこく)。蘇州(そしゅう)(江蘇省)の人。1505年(弘治18)の進士。官は国子博士。詩は白居易(はくきょい)、劉禹錫(りゅううしゃく)を好み、六朝(りくちょう)の艶詩(えんし)を喜び、祝允明(しゅくいんめい)、唐寅(とういん)、文徴明(ぶんちょうめい)とともに呉中四才子と称された。のち北京(ペキン)で李夢陽(りぼうよう)、何景明(かけいめい)らと交わって、漢魏(ぎ)盛唐を学ぶようになった。復古を唱えた前七子(ぜんしちし)のなかでは唯一の江南出身者であるが、わずか33歳で死に、その才華を惜しまれた。著に『廸功(てきこう)集』『談芸録』があり、後者は清新な詩論として、清(しん)の詩人王漁洋(士禎(してい))に愛された。伝は『明史』文苑(ぶんえん)伝2に記される。

[福本雅一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「徐禎卿」の意味・わかりやすい解説

徐禎卿
じょていけい
Xu Zhen-qing

[生]成化15(1479)
[没]正徳6(1511)
中国,明の文学者。呉県 (江蘇省) の人。字,昌穀。早くから祝允明らと「呉中四才子」と称され,のち李夢陽 (りぼうよう) ,何景明親交を結んで「三雄」と呼ばれ,「前七子」の一人に数えられる。詩文集『徐廸功 (てきこう) 集』 (6巻) 。

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