劉禹錫(読み)リュウウシャク(その他表記)Liú Yǔ xī

デジタル大辞泉 「劉禹錫」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐うしゃく〔リウ‐〕【劉禹錫】

[772~842]中国中唐期の詩人中山河北省)の人という。あざな夢得ぼうとく柳宗元白居易と親しく詩を応酬し、「劉柳」「劉白」と称された。民間で歌われていた「竹枝詞」などを文学作品に高めたことで知られる。また、「天論」を著し、天命論を批判

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精選版 日本国語大辞典 「劉禹錫」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐うしゃくリウ‥【劉禹錫】

  1. ( 「りゅううせき」とも ) 中国唐代の詩人。字は夢得(ぼうとく)洛陽河南省)の人。若くして監察御史となったが、事件に連座して左遷され、長く地方官を歴任。のち、中央へもどって太子賓客となった。柳宗元や白居易と親しく、応酬した詩も多い。著「劉夢得文集」。(七七二‐八四二

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改訂新版 世界大百科事典 「劉禹錫」の意味・わかりやすい解説

劉禹錫 (りゅううしゃく)
Liú Yǔ xī
生没年:772-842

中国,中唐の詩人。字は夢得。洛陽(河南省)の人。はじめ淮南(わいなん)節度使安徽江蘇省の地方長官)の幕僚となったが,のちに中央政府の正規の官職である監察御史となり,柳宗元などと同じく,当時権勢を誇った王叔文(753-806)の一派に属して,将来の宰相と目された。しかし,王叔文が失脚すると,連座して朗州(湖南省)の司馬に左遷された。朗州では民謡の歌詞の改作を盛んに行い,〈竹枝詞(ちくしし)〉などがその地で広く歌われた。10年後,許されて都に帰ったが,そのときの詩が権力者の怒りにふれ,ただちに地方官に転出させられ,以後何度も中央と地方の官を往復する。自己の才をたのみ,狭量であったためと正史ではいう。晩年は白居易と親交を結び,しきりに詩を唱和し,白居易はその詩才を高く評価して〈詩豪〉と呼んだ。〈西塞懐古〉〈金陵五題〉などが代表作として知られる。近来,進歩的思想家としての一面も注目されている。《劉夢得文集》30巻,《外集》10巻が伝わる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「劉禹錫」の意味・わかりやすい解説

劉禹錫
りゅううしゃく
(772―842)

中国、中唐期の詩人。字(あざな)は夢得(ぼうとく)。漢の中山(河北省)靖王(せいおう)劉勝の子孫と自称しているが、匈奴(きょうど)族の末裔(まつえい)。祖先は北魏(ほくぎ)のとき、洛陽(らくよう)に移り住んだ。出生地は呉郡(ごぐん)(江蘇(こうそ)省)。柳宗元(りゅうそうげん)と同じく793年(貞元9)の進士。革進派の王叔文(しゅくぶん)の党に加わり、連座。805年(永貞1)9月、連州(広東省)刺史(しし)に貶(おと)され、10月、朗州(湖南省)司馬に改められた。検校礼部尚書、太子賓客(ひんかく)となって洛陽に出向し、72歳で没した。晩年、白居易と詩を唱和応酬した。中国文学史上、民間で歌われていた「竹枝詞(ちくしし)」「楊柳枝詞(ようりゅうしし)」などを文学作品として洗練したことで知られる。さりげない表現のなかに深い含意を込めた作風に特色がある。『劉賓客文集』30巻、『外集』10巻がある。

[丸山 茂]

『高木正一著『新訂中国古典選15 唐詩選 下』(1966・朝日新聞社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「劉禹錫」の意味・わかりやすい解説

劉禹錫
りゅううしゃく
Liu Yu-xi

[生]大暦7(772)
[没]会昌2(842)
中国,中唐の詩人。中山 (河北省定県) の人,一説に彭城 (江蘇省銅山県) の人。字,夢得 (ぼうとく) 。貞元9 (793) 年進士に及第。やがて監察御史となり,王叔文,柳宗元らと政治改革を志したが,永貞1 (805) 年叔文は失脚,禹錫は朗州司馬に左遷された。 10年ののち都へ召還されたが,そのときつくった詩をとがめられて再び連州刺史に移され,太和2 (828) 年に都に戻って主客郎中となった。その後も中央と地方の諸官を歴任して没した。地方にある間に民間歌謡に接し,農民の生活や感情をうたい,『竹枝詞』『柳枝詞』などは唐詩の新生面を開いたものであり,地方で広く歌われたという。また,当時の「因果応報」「天人感応」説などを駁し,唯物論的な傾向をもった議論を展開している。晩年は白居易と親交があり,唱和した詩も多く,ひたすら詩文の道に励んだ。詩文集『劉夢得文集』 (30巻) ,『外集』 (10巻) 。

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百科事典マイペディア 「劉禹錫」の意味・わかりやすい解説

劉禹錫【りゅううしゃく】

中国,中唐の詩人。洛陽(河南省)の人。字は夢得。793年の進士。政争にまきこまれ,朗州(湖南省)などの僻地に左遷された体験によって,民衆生活を歌うことが多く,ことに民謡を改良して詞(詩余)を作った。五言の近体詩にすぐれていた。

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