中国、明(みん)代中期の文人、書家。字(あざな)は希哲。長洲(ちょうしゅう)(江蘇(こうそ)省蘇州)の人。同郷の徐禎卿(じょていけい)、文徴明(ぶんちょうめい)、唐寅(とういん)とともに「呉中の四才子」とよばれている。生まれつき枝指(六つ指)であったことから、枝指生または枝山と号した。早熟の英才で、酒色と勝負事を好み、俗を憎んで晋(しん)人の高踏を慕い、多くの奇行が伝えられている。中年までは政治に志を得なかったが、広東の興寧県の知事を経て、首都の応天府通判になったので、祝京兆(けいちょう)ともよばれる。書は壮年のころから臨摹(りんも)(臨写・模写)に巧みで、晩年に至るまで古今の法書の研究に努めたといわれ、各体をよくしたが、魏(ぎ)の鍾繇(しょうよう)を学んだ古雅な小楷(しょうかい)と、盛唐の懐素(かいそ)を習って独得の風韻を得た狂草とが、古来高く評価されている。小楷は『出師表(すいしのひょう)』、狂草は『赤壁賦(せきへきのふ)』がとくに知られる。
[筒井茂徳]
『『書跡名品叢刊111 出師表・赤壁賦』(1963・二玄社)』▽『『書道芸術8 祝允明・文徴明・董其昌』(1972・中央公論社)』
中国,明の文人,書家。字は希哲,号は枝山また枝指生。蘇州の人。1492年(弘治5)の挙人。広東興寧知県,応天府通判などを歴任した。唐寅,文徴明,徐禎卿と共に呉中四才子と呼ばれ,奇行をもって有名。詩文をよくし,書に巧みで,小楷は鍾繇(しようよう),王羲之,狂草は懐素,黄庭堅を学び,筆勢は鋭く奔放である。著に《懐星堂集》がある。
執筆者:福本 雅一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…明代の新しい書風が起こるのは中期,すなわち15世紀の終りから16世紀の中ごろにかけての時期で,張弼(ちようひつ)がその先駆をなし,沈周(しんしゆう)は黄庭堅を学び,呉寛は蘇軾に傾倒してそれぞれ特色のある書をかいた。さらに江蘇省の蘇州から祝允明,文徴明という2人の傑出した書家が現れた。祝允明は鍾繇風の謹直古雅な小楷と,張旭,懐素を思わせる奔放な狂草によって知られる。…
※「祝允明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新