祝允明(読み)シュクインメイ

デジタル大辞泉 「祝允明」の意味・読み・例文・類語

しゅく‐いんめい【祝允明】

[1460~1526]中国、明代の文人書家長州江蘇省)の人。あざなは希哲。号、枝山。詩にすぐれ、また能筆家として知られる。

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精選版 日本国語大辞典 「祝允明」の意味・読み・例文・類語

しゅく‐いんめい【祝允明】

  1. 中国、明代の学者。字(あざな)は希哲。号は枝山。蘇州の人。詩文に長じ、書は特に草書にすぐれていた。また、徐禎卿文徴明唐寅などとともに「呉中四才子」の一人と称され、反俗的な批評精神で知られている。著「野記」「懐星堂集」など。(一四六〇‐一五二六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祝允明」の意味・わかりやすい解説

祝允明
しゅくいんめい
(1460―1526)

中国、明(みん)代中期の文人、書家。字(あざな)は希哲。長洲(ちょうしゅう)(江蘇(こうそ)省蘇州)の人。同郷の徐禎卿(じょていけい)、文徴明(ぶんちょうめい)、唐寅(とういん)とともに「呉中の四才子」とよばれている。生まれつき枝指(六つ指)であったことから、枝指生または枝山と号した。早熟の英才で、酒色と勝負事を好み、俗を憎んで晋(しん)人の高踏を慕い、多くの奇行が伝えられている。中年までは政治に志を得なかったが、広東の興寧県の知事を経て、首都の応天府通判になったので、祝京兆(けいちょう)ともよばれる。書は壮年のころから臨摹(りんも)(臨写・模写)に巧みで、晩年に至るまで古今の法書の研究に努めたといわれ、各体をよくしたが、魏(ぎ)の鍾繇(しょうよう)を学んだ古雅な小楷(しょうかい)と、盛唐の懐素(かいそ)を習って独得の風韻を得た狂草とが、古来高く評価されている。小楷は『出師表(すいしひょう)』、狂草は『赤壁賦(せきへきのふ)』がとくに知られる。

[筒井茂徳]

『『書跡名品叢刊111 出師表・赤壁賦』(1963・二玄社)』『『書道芸術8 祝允明・文徴明・董其昌』(1972・中央公論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「祝允明」の意味・わかりやすい解説

祝允明 (しゅくいんめい)
Zhù Yǔn míng
生没年:1460-1526

中国,明の文人,書家。字は希哲,号は枝山また枝指生。蘇州の人。1492年(弘治5)の挙人。広東興寧知県,応天府通判などを歴任した。唐寅,文徴明,徐禎卿と共に呉中四才子と呼ばれ,奇行をもって有名。詩文をよくし,書に巧みで,小楷は鍾繇(しようよう),王羲之,狂草は懐素,黄庭堅を学び,筆勢は鋭く奔放である。著に《懐星堂集》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祝允明」の意味・わかりやすい解説

祝允明
しゅくいんめい
Zhu Yun-ming

[生]天順4(1460)
[没]嘉靖5(1526)
中国,明の書家,文人,官吏。長洲 (江蘇省) の人。字は希哲,号は枝山。官は応天府通判となった。母方の祖父,徐有貞から懐素流の草書を,妻の父,李応禎から楷書を学んだという。本来,魏,晋の書風をよく学んだが,天性が磊落豪放であったためか,晩年は奔放な狂草に長じた。文徴明と並んで「文祝」と呼ばれた。作品には,『臨黄庭経巻』 (澄懐堂文庫) ,『前後赤壁賦』 (上海博物館) などがある。また詩文をよくし,著書に『枝山文集』『野記』『蚕衣罪知録』『懐星堂集』などがある。

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百科事典マイペディア 「祝允明」の意味・わかりやすい解説

祝允明【しゅくいんめい】

中国,明代の文人,書家。字は希哲。号は枝指生,枝山。江蘇長洲の人。晋人の気風を慕って放縦な生涯を送り,詩文をよくして〈呉中四才子〉の一人に数えられる。書は鍾【よう】(しょうよう)風の精謹な楷書(かいしょ)と,狂草風の奔放な草書に特色を発揮した。

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世界大百科事典(旧版)内の祝允明の言及

【書】より

…明代の新しい書風が起こるのは中期,すなわち15世紀の終りから16世紀の中ごろにかけての時期で,張弼(ちようひつ)がその先駆をなし,沈周(しんしゆう)は黄庭堅を学び,呉寛は蘇軾に傾倒してそれぞれ特色のある書をかいた。さらに江蘇省の蘇州から祝允明,文徴明という2人の傑出した書家が現れた。祝允明は鍾繇風の謹直古雅な小楷と,張旭,懐素を思わせる奔放な狂草によって知られる。…

※「祝允明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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