精選版 日本国語大辞典 「御目見え」の意味・読み・例文・類語
お‐めみえ【御目見・御目見得】
- 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
- ① 大名など、目上の人に面会すること。お目にかかること。
- [初出の実例]「広間へ出させられた。先づあれへ出て御目見(メミエ)をさしませ」(出典:雲形本狂言・今参(室町末‐近世初))
- ② 特に江戸時代、将軍に直接お目通りすること。また、それが許される身分。御目見以上は旗本、御目見以下は御家人を意味する。
- [初出の実例]「侍従以上拾万石以上之嫡子、初而御目見之時」(出典:日本財政経済史料‐五・財政・献納・諸種献納・元祿八年(1695)二月八日)
- ③ 召使いなどが初めて主人に会うこと。また、正式に雇われる前の見習い期間。《 季語・春 》
- [初出の実例]「近き内に御所方へ御奉公に出る其お目見へに入よしにて」(出典:浮世草子・世間娘容気(1717)二)
- ④ 歌舞伎、人形浄瑠璃で、俳優、浄瑠璃太夫、人形遣いなどが、初めてまたは久し振りに舞台で演技すること。襲名、初舞台、またはある劇場への初出演などの場合にいう。
- ⑤ =おめみえかせぎ(御目見稼)
御目見えの語誌
( 1 )「見る」という行為を自発的なものとして表現する動詞「見ゆ」の連用形「みえ」に名詞「目」を冠した「目見え」に、さらに尊敬を表わす接頭語「お」を冠した語。
( 2 )「お目に掛かる」と同様に目上の人の目に見えるという婉曲表現による謙譲表現。
( 3 )「目見」と関連のある「まみゆ」の形が別にあり、院政期の文献に見えるが、「目」を「め」とする「おめみえ」は、中世末から近世以降の新しい語形と考えられる。