微細構造定数(読み)ビサイコウゾウテイスウ(その他表記)fine structure constant

デジタル大辞泉 「微細構造定数」の意味・読み・例文・類語

びさい‐こうぞうていすう〔‐コウザウテイスウ〕【微細構造定数】

水素に類似する原子スペクトル線に見られる微細構造を説明するための物理定数ゾンマーフェルトによって導入された無次元量であり、その値は約1/137である。
[補説]微細構造定数αは、ディラック定数ħ、光速度c、電気素量e、真空誘電率ε0を用いて、α=e2/4πε0ħcで表される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「微細構造定数」の意味・わかりやすい解説

微細構造定数
びさいこうぞうていすう
fine structure constant

原子スペクトル微細構造を説明するために導入された普遍定数記号はα。

α=μ0e2c/2h(=2πe2/hc)=7.2973506×10-3

αは無次元数であり,前式は国際単位系で,( ) 内は CGSガウス単位系で表わした表式。ただし hプランク定数e電気素量c は真空中の光速度,μ0 は真空の透磁率である。真空の誘電率 ε0 を用いた表式
もよく用いられる。αが小さいのは電磁相互作用が弱いことを意味する。αは量子電磁力学近似計算 (摂動論) で展開パラメータとして用いられる重要な原子定数である。

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化学辞典 第2版 「微細構造定数」の解説

微細構造定数
ビサイコウゾウテイスウ
fine structure constant

水素類似原子のスペクトル線に現れる微細構造を説明するために,A. Sommerfeldによって導入された無次元の定数.

ここで,e電子の電荷,cは光の速度,ℏ = h/2π,hプランク定数である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の微細構造定数の言及

【微細構造】より

…この分裂した各発光線を微細構造線と呼ぶ。分裂の大きさは微細構造定数αに特徴づけられる。αは,光の速度をc,電子の電荷を-e,真空の透磁率をμ0とすると,α=μ0ce2/2h=(137.03604)-1で与えられる(CGS単位では2πe2/hc)無次元の普遍定数で,微細構造に限らず,電子,中間子,光子の間の相互作用を特徴づける自然界の重要な定数である。…

※「微細構造定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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