心猿(読み)シンエン

デジタル大辞泉 「心猿」の意味・読み・例文・類語

しん‐えん〔‐ヱン〕【心猿】

欲情に燃えて落ち着かないようすを、猿がわめき騒ぐのにたとえた語。「意馬心猿

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心猿」の意味・読み・例文・類語

しん‐えん‥ヱン【心猿】

  1. 〘 名詞 〙 情欲・煩悩が盛んでおさえ切れないのを、騒ぎたてる猿にたとえていう語。→心の猿
    1. [初出の実例]「可以繋意馬、可以降心猿」(出典:都氏文集(879頃)三・大唐明州開元寺鐘銘)
    2. 「心猿あそんで十悪のえだにうつる」(出典:元久法語(1205‐07頃))
    3. [その他の文献]〔梁簡文帝‐蒙預懺悔詩〕

心猿の語誌

( 1 )曇鸞「略論安楽浄土義」に「然凡夫心猶野馬、識劇猿猴、馳騁六塵、不暫停息」と、凡夫の心を馬・猿にたとえた例がある。仏教語としての性格が濃いが、道教関係の書や「伝習録」にも用いられている。
( 2 )「こころのさる」と訓読して使われることは稀だが、謡曲和歌などに見られる。ただし多く「騒がしい」に重点が置かれる。

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