四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「心筋トロポニン」の解説
心筋トロポニン
基準値
陰性
心筋の傷害で陽性に
トロポニンは、心筋(心臓の筋肉)の細いフィラメント(細い線)を形成する収縮蛋白で、トロポニンT、IとCからなります。これらのうち、臨床的に測定されているのは、トロポニンTとIです。トロポニンは心筋の構成成分であるため、これが血液中に出現する場合には、急性心筋
従来から測定されているクレアチンキナーゼ(→参照)やLDH(→参照)などの酵素やミオグロビン(筋肉ヘモグロビン)は、心筋のほかに骨格筋にも多量に存在するため、これらが血中に認められた場合には、心筋の傷害ばかりでなく、骨格筋の傷害かを鑑別する必要があります。
一方、トロポニンが認められた場合には、ただちに心筋が傷害されたと判定でき、特異性が極めて高い検査といえます。
目的をもって行う検査
この検査は、スクリーニング(ふるい分け)検査ではなく、心筋の傷害を調べるという目的をもって行うことがほとんどです。トロポニンが陽性なら、心電図(→参照)、心臓超音波(→参照)、心筋シンチグラフィ(→参照)などを行い、くわしくチェックしていきます。
トロポニンは分子量が小さいため、急性心筋梗塞発症後、数時間で血液中に出現し、しかも10~14日間は異常高値が持続します。このため、症状がはっきりしなくて検査が遅れた場合にも陽性となり、心筋の傷害を診断できます。
なお、筋ジストロフィー症や甲状腺機能低下症で骨格筋が変性した場合には、心筋と間違われて高値になることもあります。
疑われるおもな病気などは
陽性→急性心筋梗塞、心筋炎、狭心症、心臓手術後など(進行性筋ジストロフィー症、甲状腺機能低下症では偽陽性となることあり)
医師が使う一般用語
「トロポニン」
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報