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甲状腺機能低下症 こうじょうせんきのうていかしょうhypothyroidism

翻訳|hypothyroidism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

甲状腺機能低下症
こうじょうせんきのうていかしょう
hypothyroidism

甲状腺の機能が低下してホルモンの分泌が不足すると,小児ではクレチン病,成人では粘液水腫を起す。クレチン病では,身長や手足の骨の発育が障害され,手足の短い小人になる。知能も遅れ,乳児様の顔貌を示すほか,動作緩慢,皮膚は冷却,乾燥し,循環不全を呈する。粘液水腫では,皮下に粘液様の物質がたまるため,浮腫,徐脈,心音微弱となり,疲れやすく寒がりで,口のきき方や精神活動も不活発になる。さらに動脈硬化,血圧上昇を示すことがある。このほか,ヨウ素の欠乏,薬剤,慢性甲状腺炎,放射線治療,手術などによる甲状腺機能低下症もある。

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デジタル大辞泉の解説

こうじょうせんきのうていか‐しょう〔カフジヤウセンキノウテイカシヤウ〕【甲状腺機能低下症】

甲状腺の機能が低下した状態。血中の甲状腺ホルモンが減少し、それによる症状が現れる。乳幼児期のクレチン病、大人では粘液水腫となる。甲状腺ホルモン過少症。

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百科事典マイペディアの解説

甲状腺機能低下症【こうじょうせんきのうていかしょう】

甲状腺機能不全とも。原因から,甲状腺そのものの障害による原発性甲状腺機能低下症,脳下垂体障害による二次性甲状腺機能低下症,視床下部障害による三次性甲状腺障害症に分類される。

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家庭医学館の解説

こうじょうせんきのうていかしょう【甲状腺機能低下症 Hypothyroidism】

[どんな病気か]
 甲状腺ホルモンの不足によってひきおこされる病気です(「甲状腺機能低下症とは」)。先天性甲状腺機能低下症クレチン症)では、治療されないと、精神運動発達遅滞(せいしんうんどうはったつちたい)をおこしますが、現在は、新生児マススクリーニングによって、ほとんどの症例が発見されます。
 小児期に発症する後天性甲状腺機能低下症は、大部分が自己免疫性甲状腺炎(じこめんえきせいこうじょうせんえん)です。そのなかには思春期以降の女子に多い橋本病(はしもとびょう)もありますが、思春期前の女子には萎縮性(いしゅくせい)自己免疫性甲状腺炎もあります。
 甲状腺ホルモンは成長に不可欠です。甲状腺機能が低下すると、その年齢から急に身長の伸びが鈍くなるため、異常に気づきます。萎縮性甲状腺炎では、とくに著しい成長障害がおこります。
[検査と診断]
 血液中の甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの測定により診断されます。機能低下の原因を調べるため、甲状腺の超音波検査や、血液中の抗甲状腺抗体(こうこうじょうせんこうたい)の検査が必要です。放射性ヨードを用いた検査も必要に応じて行なわれます。
[治療]
 甲状腺ホルモンの内服によって適切に治療できます。
 先天性甲状腺機能低下症の場合は、脳障害の予防のために、1日も早く治療を開始すべきです。後天性甲状腺機能低下症では、年齢的に遅すぎないかぎり、治療によって成長は回復します。
 内服剤で治療できるのは大きな利点ですが、飲み忘れのないようにすること、薬の量が適切かどうかを血液検査でときどき確認することがたいせつです。適切な量を服用していれば、副作用はありません。

こうじょうせんきのうていかしょう【甲状腺機能低下症 (Hypothyroidism)】

◎甲状腺ホルモンの量が不足する
 甲状腺のはたらきが低下するために、血液中の甲状腺ホルモンが減少した状態を、甲状腺機能低下症といいます。
 ホルモンの減少がひどくなると、体内のいろいろな物質の代謝がうまく行なわれなくなって、からだがだるい、気力がわかない、動作が緩慢(かんまん)になるなどの症状がみられるようになります。
 つぎのような種類があります。
■原発性(げんぱつせい)(甲状腺性(こうじょうせんせい))甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
 甲状腺に原因があって、その機能が低下している病気で、代表的なのは慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)(橋本病(はしもとびょう))です。
■二次性(にじせい)(下垂体性(かすいたいせい))甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
 甲状腺は、脳の下垂体から分泌(ぶんぴつ)されている甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激を受けて甲状腺ホルモンを分泌します。この下垂体に障害があり、TSHが十分に分泌されないためにおこる甲状腺機能低下症をいいます。
■三次性(さんじせい)(視床下部性(ししょうかぶせい))甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
 下垂体は、脳の視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の刺激を受けて、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を分泌しています。TRHの分泌が十分でないと、TSHも分泌されず、結果的に甲状腺ホルモンも分泌されません。このような甲状腺機能低下症をいいます。
■末梢性甲状腺機能低下症(まっしょうせいこうじょうせんきのうていかしょう)
 以上の3種類の甲状腺機能低下症とことなり、血液中に甲状腺ホルモンはあるのに、その作用が現われない病気(甲状腺(こうじょうせん)ホルモン不応症(ふおうしょう))をいいます。
 レフェトフ症候群が報告されていますが、この場合、甲状腺ホルモンの内服は無効です。しかし、機能低下の程度は軽く、経過を観察するだけでよいと考えられています。
 原発性、二次性、三次性甲状腺機能低下症は、いずれも、甲状腺ホルモンの内服で治療します。
◎原発性甲状腺機能低下症の種類
 甲状腺機能低下症のなかで、もっとも多くみられるのは、原発性甲状腺機能低下症です。これには、つぎのようなものがあります。
■慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)(橋本病(はしもとびょう))
 自己免疫(じこめんえき)が原因でおこる甲状腺機能低下症です。
■医原性甲状腺機能低下症(いげんせいこうじょうせんきのうていかしょう)
 甲状腺の病気の治療のために、手術療法や放射性ヨード療法を受けたり、海藻などヨードを含んだ食物を過剰に食べると、機能低下症におちいることがあります。
■クレチン症(先天性甲状腺機能低下症(せんてんせいこうじょうせんきのうていかしょう))
 生まれつき甲状腺ホルモンの合成に障害がある異常、甲状腺の発達・形成異常(無形成や低形成)や異所性(いしょせい)甲状腺(甲状腺組織が本来の場所にない先天的な異常)によるものなどがあります。成長・発育の障害、とくに知的障害が問題となります。新生児スクリーニング検査(濾紙(ろし)にしみこませた血液によるホルモンの測定)による早期診断と早期治療が必要です。
■粘液水腫(ねんえきすいしゅ)
 原発性甲状腺機能低下症のうち、とくに機能低下の程度がひどく、皮膚のむくみなど、特有の皮膚症状が現われます。

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大辞林 第三版の解説

こうじょうせんきのうていかしょう【甲状腺機能低下症】

甲状腺ホルモンの分泌が低下して全身のだるさ、皮膚の乾燥、顔面のむくみ、神経反射の低下、低体温などの症状がある状態。 → クレチン病

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

甲状腺機能低下症
こうじょうせんきのうていかしょう

甲状腺ホルモンが足りないためにおこる疾患で、甲状腺機能不全ともいう。男女比は1対5くらいで女性に多い。原因としてもっとも多いのは、特発性といって自己免疫によるもので、次に多いのがバセドウ病に対して放射性ヨード療法を行ったのちにおこるものである。症状の第一は全身のむくみ(浮腫(ふしゅ))で、普通のむくみと異なり、指で押してもへこみが残らない。そのほか、皮膚が乾燥し、脱毛、全身倦怠(けんたい)感、食欲低下、便秘、かれ声、いびきなどがみられ、寒がったり、ゆっくり低音で話したりする。また、男性では性欲減退、女性では初期には月経過多、重症になると無月経がみられる。軽い例では上述の症状の一部が現れるにすぎない。また、小児に発病すると、成長が障害されて低身長症(甲状腺性低身長症)になる。胎児期または生まれてすぐに発病すると、肉体的にも精神的にも成長発育が著しく低下し、顔がむくみ口唇が厚く、鼻が低くて横に広がる特有な顔つきになり、知能低下の状態になる。これをクレチン症という。
 診断としては、血中の甲状腺ホルモン(チロキシン、トリヨードチロニン)と甲状腺刺激ホルモンの測定が行われる。また多くの場合、血清コレステロールが高値を示す。治療は甲状腺ホルモン剤の服用が有効であるが、一生飲み続けなければならない。[鎮目和夫]

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世界大百科事典内の甲状腺機能低下症の言及

【チロキシン】より

…すなわち基礎代謝率の増加,体重減少,頻脈,発汗,疲れやすく暑さに弱い,多食,手指の振戦などが起こる。また甲状腺機能が不全となると,ホルモンの分泌が減少し,血中チロキシン濃度が低下し,甲状腺機能低下症の状態となる。元気がなく,寒さに敏感となり,体温は低下し,皮膚は冷たく,乾燥し,毛が抜けやすく,知的活動能力が落ち,徐脈,便秘,貧血,むくみなどが起こってくる。…

【粘液水腫】より

…甲状腺機能低下症hypothyroidismとほぼ同義に用いられるが,出生後早期に発症し,特有の発育障害を起こすクレチン病(クレチン症ともいう)は,別の疾患として扱われる。甲状腺機能低下症は,甲状腺からのホルモン分泌が減少し,血液中の遊離甲状腺ホルモン濃度が低下して,特有の臨床症状または生化学的変化を伴っている状態をさす。…

※「甲状腺機能低下症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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