念人(読み)ネンニン

デジタル大辞泉 「念人」の意味・読み・例文・類語

ねん‐にん【念人】

平安時代以降、弓場始ゆばはじめ賭弓のりゆみ歌合わせ詩合わせ小弓合わせ・闘鶏などの勝負事さいに、応援世話をした役。

ねん‐じん【念人】

念者ねんじゃ」に同じ。
「今十五歳まで―のなき事は」〈浮・男色大鑑・一〉
ねんにん(念人)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「念人」の意味・読み・例文・類語

ねん‐にん【念人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 賭弓(のりゆみ)笠懸(かさがけ)競馬(くらべうま)などすべての勝負事に、競技者の贔屓(ひいき)をする人。競技の応援、または世話をする人。念者(ねんじゃ)
    1. [初出の実例]「於対東庭、有賭弓事。前方念人中務卿親王、後方念人下官」(出典:九暦‐九暦抄・天暦二年(948)三月一二日)
  3. 歌合の世話役として、罰酒の給仕役を務めるもの。
    1. [初出の実例]「判者以右為勝。爰右念人勧盃於左」(出典:天徳闘詩行事略記(959))
  4. ねんじゃ(念者)
    1. [初出の実例]「心底けなげにて、したしき念人(ネンニン)をもてるに、さるおとこ、又此少年におもひをかけぬれば」(出典:咄本・私可多咄(1671)五)

ねん‐じん【念人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ねんじゃ(念者)
    1. [初出の実例]「さて念人(ネンじん)もななめならずむつましき躰(てい)、たがいに韓雲・孟竜のごとし」(出典:仮名草子・心友記(1643))
  3. ねんにん(念人)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の念人の言及

【歌合】より

…また当座歌合,兼日歌合,撰歌合,時代不同歌合,自歌合,擬人歌合など,歌人関与のあり方を規準として区分することもあって,歌合の分類は多岐複雑である。 またその構成は,人的構成にのみ限っていうと,王朝晴儀の典型的な歌合にあっては,方人(かたうど)(左右の競技者),念人(おもいびと)(左右の応援者),方人の頭(とう)(左右の指導者),読師(とくし)(左右に属し,各番の歌を順次講師に渡す者),講師(こうじ)(左右に属し,各番の歌を朗読する者),員刺(かずさし)(左右に属し,勝点を数える少年),歌人(うたよみ)(和歌の作者),判者(はんじや)(左右の歌の優劣を判定する者。当代歌壇の権威者または地位の高い者が任じる)などのほか,主催者や和歌の清書人,歌題の撰者などが含まれる。…

【男色】より

…とくに戦国時代には,尚武の気風からことさらに女性をさげすみ,男色を賛美する傾向が強まった。その中から,男色における兄分(念者(ねんじや),念人(ねんにん))と弟分(少人(しようじん),若衆)との間の倫理的契約(義理,意気)を重んじた衆道(しゆどう),若道(にやくどう)の成立をみるにいたった。こうした男色流行は江戸時代の前期に受けつがれ,士,僧のほか一般庶民の間にもその風がひろまり,若衆歌舞伎の発展はこれを助長するとともに,男色を売る男娼――陰間(かげま)が出現するに及んだ。…

※「念人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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