思し召す(読み)オボシメス

デジタル大辞泉 「思し召す」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐め・す【思し召す】

[動サ五(四)]《「おもほしめす」の音変化》「思う」の尊敬語。「おぼす」より敬意が高い。
お思いになる。お考えになる。「ばかなやつと―・してお許しください」
心を向けて、大切にお思いになる。お目をかける。愛しなさる。
「昔おはしましける帝の、ただ若き人をのみ―・して」〈・二四四〉
[類語]思う考える思い巡らす存ずる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「思し召す」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐め・す【思召・思食】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. ( はたから見た、その人の様子を示す語が上に来て ) そういう顔つきをなさる。
    1. [初出の実例]「『さまあしうて高う乗りたりとも、かしこかるべきことかは。〈略〉』とものしげにおぼしめしたり」(出典:枕草子(10C終)二七八)
  3. 物事を理解したり、感受したりするために心を働かせなさる。断定推量、意志、回想など種々の心の働きをいう。お思いになる。お考えになる。お感じになる。
    1. [初出の実例]「子安貝とらんとおぼしめさば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. ある対象に心をお向けになる。愛しなさる。大事になさる。
    1. [初出の実例]「そのみこ、女をおぼしめして」(出典:伊勢物語(10C前)四三)
  5. 他の動詞の上に付けて、その動作主への尊敬の意を加える。「おぼしめしいず」「おぼしめしたつ」「おぼしめしなげく」「おぼしめしやる」など。

思し召すの語誌

( 1 )「おぼす」に「めす」が付いて敬意を強めたとも、上代の「おもほしめす」が変化したとも説かれている。「おぼしめす」は帝や院、中宮などに限って用いられた。
( 2 )天皇上皇言葉の中に自分自身に敬意を払う、いわゆる自敬表現として用いられることがある。

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