神経症(ノイローゼ)やとくに精神病で認められる思考の異常にはさまざまなタイプがあり、これらはまとめて思考障害と総称される。一般に、思考が一貫した筋道をたどっているかどうかという思考過程、思考が自律的に営まれているかどうかという思考体験、思考が了解できる内容を生み出しているかどうかという思考内容、の三つについてそれぞれの異常が問題になる。この3種の異常は相互に深く関連しあっていて、一つだけ切り離して考えるのはむずかしい。まず第一の思考過程の異常としては、考えが次々に浮かんでは本来の筋道からそれていってしまう観念奔逸(ほんいつ)がそう(躁)病に、逆に考えが渋滞してなかなか先へ進まない思考制止がうつ(鬱)病に、枝葉末節にこだわって考えが回りくどくなる迂遠(うえん)思考がてんかんに、思考の進行が途中で突然停止してしまう思考途絶や、思考の筋道に統一とまとまりがなくなる滅裂思考が統合失調症(精神分裂病)に、そして意識混濁のために思考が支離滅裂になってしまう散乱思考が症状精神病に、それぞれ現れる。第二の思考体験の異常としては、自分の考えが他人によって干渉され操作される作為思考(させられ思考)が統合失調症に、その内容を無意味で不合理と知りながらこれを自分の考えから追い払うことができない強迫思考が強迫神経症やうつ病、統合失調症などに現れる。第三の思考内容の異常は、とりもなおさず妄想で、その典型はなかんずく統合失調症にみいだせるが、そのほか、パラノイア(妄想症)やうつ病など、広い範囲に現れうる。
[宮本忠雄]
…こうして,乳児の感覚運動的知能から青年の操作的思考(論理的思考)に至るまでの機能的なつながりが解明されたのである。【滝沢 武久】
[思考障害]
思考障害(異常)disturbance of thoughtは一般に,(1)思考過程(観念連合,思考の流れ)の障害と,(2)思考内容の障害に分けられる。思考過程とは,一定の目的に適合した観念を順次思い浮かべながら判断,推理などによって課題を分析,解決する過程であり,その障害には思考制止,思考途絶,観念奔逸,思考滅裂,思考散乱,保続などがある。…
※「思考障害」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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