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強迫思考や強迫行為に悩んでいる状態で,精神病や脳器質性の障害を否定することができる場合をいう。強迫神経症という名称を理論的な根拠に基づいて使用したのはS.フロイトである。彼以前には,パラノイアと強迫状態との類似がもっぱら考えられており,フロイトがはじめて強迫とヒステリーとの共通点をあげて,これを神経症とみなしたのである。森田正馬は,強迫神経症をも彼のいう神経質の中に含め,その成立機制は,狭義の神経質の場合と同じく,ヒポコンドリー性基調と精神交互作用とからなるとする。フロイトは強迫神経症を肛門サディズム期への病者の退行ならびにこれに対する防衛として理解し,かつ過酷な超自我の役割を重視している。もっとも最近では口唇期の病理も問題とされることが多い。治療としては,森田療法,精神分析療法,行動療法,薬物療法が行われる。
→神経症
執筆者:下坂 幸三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
非条理であることを患者自身よく知っているある観念(強迫観念)が意識を占有してしまい、そのばからしさに気づいて中断しようとするができないところから、正常な理性的判断とこの病的意識との闘いに悩み苦しむノイローゼの一種。器官神経症と区別し、精神神経症の一つとされている。強迫観念は、つまらない考えであることがわかっていながら頭にこびりつき、それを払いのけよう、あるいは忘れようとすればするほど、かえってより強く意識されるようになり、どうにもならない状態になるもので、強迫神経症では、患者はこの葛藤(かっとう)から逃れるために、ばからしさ、無意味さを承知しながら強迫的にある行動を繰り返す場合が多い。たとえば、手指に病原菌がついているのではないかという異常な観念のために、始終手を洗うといった強迫行為を繰り返すことなどがみられる。
このように、強迫症状は強迫観念と強迫行為とに区別できるが、両者は互いに対(つい)をなすものが多い。単独にみられる場合には、しばしば脳障害の症状であることがある。
[懸田克躬]
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…もし愛しか存在していないなら,恋人が別の人に走っても,その幸福を願うはずだから。このような自責や嫉妬は一応正常のうちに入れてもいいが,恐怖症や強迫神経症などの症状は,アンビバレンスを解決しようとする失敗した試みと考えられる。たとえば動物恐怖は,父親なら父親に対する憎しみを抑圧してある種の動物に振り向け,その動物の復讐を恐れているのである。…
…さまざまな身体的愁訴がみられる。(3)強迫神経症 強迫思考,強迫行為などの強迫体験を主症状とする。すなわち,不合理でばかばかしいと知りながら,ある思考や行為を繰り返さずにいられない。…
…S.フロイトによって,1909年《強迫神経症の一例に関する考察》と題して発表された論文で報告されている神経症者の別名。この症例は強迫神経症の精神病理の理解に重要な意義をもつ。…
※「強迫神経症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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