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強迫性障害 きょうはくせいしょうがいobsessive‐compulsive disorder

知恵蔵の解説

強迫性障害

身近なものが汚染されていないか、鍵をかけただろうか、自分や他人を傷つけてしまうのではないかなど、不快さや不安を引き起こす考えやイメージが、何度も反復する強迫観念と、過剰に洗浄したり、確認したり、また、嫌な考えを打ち消すために数を数えたりする強迫行為がある。不合理と思っても止められず、その反復性と過剰により、日常生活に支障が出る。親や配偶者を不安解消のための確認作業などに巻き込むこともある。一方、過剰に完全性を求めたり、柔軟性に欠ける道徳観を持ち、様々な規則や手順に拘泥したりする人たちを、強迫性人格障害と呼ぶ。こうした強迫心性は、不登校摂食障害アパシー(apathy=無気力・無関心状態)、中年期の軽症うつ病などで見られることが多く、現代の社会や教育の在り方との関連が指摘されている。

(田中信市 東京国際大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

きょうはくせい‐しょうがい〔キヤウハクセイシヤウガイ〕【強迫性障害】

強迫観念強迫行為を主な症状とする精神疾患。意思に反して不快な考えが繰り返し頭に浮かび、また、不安を振り払うために同じ行動を繰り返し、生活にも支障が生じる神経症不安障害の一種。治療には薬物療法、カウンセリングなど。強迫神経症強迫症OCD(obsessive-compulsive disorder)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

強迫性障害
きょうはくせいしょうがい

強迫観念にとらわれ強迫行為を繰り返してしまうために、日常生活や社会生活に支障をきたすようになる精神疾患。強迫観念とは、無意味でつまらないとわかっていながら頭から離れず、いつもとらわれてしまう思い込みをいい、強迫行為とは強迫観念を打ち消すための行為をせずにいられず、無意味と思いながら繰り返し行動に移してしまうことである。たとえば、戸締りや火の元などを何度も繰り返し確認せずにはいられない、あるいは手が汚れていると思い込み、たとえ汚れていなくとも不安を感じずっと繰り返し手洗いを続ける、他人に危害を加えたと思い込んで不安になる、などである。ほかに縁起のいい、もしくは悪い数字に極端にこだわったり、物の配置や物事の手順が一定でないと不安を感じ、生活に支障が生じる場合もある。強迫行為が生活に支障をもたらすほど重症化したものが疾患として扱われ、OCD(Obsessive-Compulsive Disorder)と略称される。アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計の手引き(DSM)』では、かつては不安障害に含まれていたが、第5版(DSM-5)からは独立した疾患概念として、「強迫症および関連症群」の一つに位置づけられた。また、DSM-5には神経症の疾患概念がなくなったために、強迫神経症は強迫性障害とよばれるようになった。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)では神経症は神経症性障害に分類され、強迫性障害は「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」のカテゴリーに含まれている。またWHOでは、強迫性障害を生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つにあげている。日本人の罹患(りかん)率は明らかではないが、潜在的なものも含めてかなりの数に上ると推測されている。また、その原因は明確になっていないが、潔癖症といった性格やストレスなどが考えられている。治療は薬物療法や認知行動療法などによる。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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