知恵蔵
「悪の枢軸」の解説
悪の枢軸
ブッシュ米大統領が、2002年一般教書演説で、イラク、イラン、北朝鮮の3国を、最も脅威となる国家として非難した言葉。「evil」は、邪悪、罪深い悪を意味する宗教・道義的な非難の言葉。特に歴史を「正」と「悪」の闘争として描く世界像からは、「悪」とは、「正」が闘って絶滅させるべき対象とみなされる。「枢軸」は、第2次大戦の日独伊など、共同して米国に敵対する国々、との含意。ただし3国には「枢軸」と呼ぶほどの連携はない。ブッシュ大統領は、「テロとの戦争」が今後も続くとした上、アフガニスタンに次ぐ武力行使の標的候補をそれら3国に特定。「悪」とした根拠は、(1)テロ支援、(2)大量破壊兵器の保有、(3)人権・自由の抑圧など。米国はイラク政権を軍事打倒したが、大量破壊兵器はなく、9.11テロへの不関与も判明。ブッシュ大統領は、イランと北朝鮮の核開発に対し軍事攻撃を示唆する発言を行った。そのためこうした米国の規定は、武力行使を正当化し、戦火を広げ、友と敵に二分して外交の柔軟性を欠く、など、国際的な批判や反発が強い。
「悪の枢軸」
ブッシュ大統領が2002年1月末の年頭教書の中で、イラク、イラン、北朝鮮の3国を指して呼んだ言葉。米国はそれ以前にも、北朝鮮、イラクなどを「ならず者国家(rogue state)」と呼んでいた。年頭教書では同時多発テロの衝撃を受けて、より具体的にイスラム過激派集団、アルカイダをテロリスト集団と断定、彼らをかくまったり、武器や資金の提供、軍事訓練などで支援したりしている国家としてこれら3国を「悪の枢軸」と呼んだ。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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