情報産業(読み)じょうほうさんぎょう

  • information industry
  • じょうほうさんぎょう ジャウホウサンゲフ
  • じょうほうさんぎょう〔ジヤウホウサンゲフ〕
  • 情報産業 information industry

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

情報技術に関連する経済活動全般をさす。ソフトウェア開発、通信サービスからコンピューター関連機器製造まで多岐にわたる。本文中の情報産業の売上額や順位は、日本標準産業分類の「情報サービス業」「インターネット付随サービス業」に限定したもの。

(2018-10-20 朝日新聞 朝刊 新潟全県・2地方)

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百科事典マイペディアの解説

各種の資料・情報を収集整理し,より高次の加工情報として販売する産業分野。株式・商品市況,産業情報,統計,技術文献などの提供,各種コンサルタント業務,ソフトウェアの製作提供などが含まれる。近年のコンピューターの画期的な進歩やデータ伝送など,情報処理・伝達技術の発達により急速に発展してきた。これとともに最近では教育,新聞,出版,放送,映画などを総合して,人間の精神的欲求を充足させるための産業全体を知識情報産業知識産業などと呼ぶようになり,これらが先進国の国民総生産に占める比率は急速に高まっている。
→関連項目サービス業情報化社会情報サービス産業

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世界大百科事典 第2版の解説

広義には物的財貨,サービスを供給する産業部門に対比させて,情報を生産,収集,蓄積,加工,提供する業務に関連する産業をいう。この場合にはマハルップF.Machlupのいう〈知識産業knowledge industry〉とほとんど同じ意味になる。狭義にはコンピューターと通信を結合して各種の情報サービスを行う産業部門をいう。この狭義の意味に加えて,コンピューターのハードウェア,ソフトウェア,それらの周辺関連サービス業まで,いいかえればコンピューター産業まで,さらにそれに加えて電気通信産業まで広げて三本柱とする場合も多い。

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大辞林 第三版の解説

情報の生成・収集・加工・提供およびコンピューター情報システムの開発などを行う産業の総称。広くは新聞・出版・放送・広告などのサービス産業をも含める。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

情報の収集,加工,処理,蓄積,検索,提供に直接間接に関連する産業群の総称。これにはコンピュータ製造販売業とその関連サービス業,情報処理サービス業,ソフトウエア会社,情報提供サービス業などが含まれる。関連サービス業とはコンピュータとその関連機材の販売,リース,保守サービス,要員の教育,派遣サービスを専門とする企業群のこと。情報処理サービス業はいわゆる計算センターと呼ばれるもので,受託計算サービス,コンピュータの時間貸しなどを行なっている。ソフトウエア会社はソフトウエアの開発専業とする企業。情報提供サービス業はいわゆるデータベースなどを提供することを業とし,情報の収集加工,蓄積,検索などを行う企業。また近年では通信との関係が深まり,情報・通信産業としての概念も形成されつつある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

情報の創出、処理、伝達に携わる産業。具体的には電子工業と情報サービス業が中軸を担う。

産業基盤

電子工業は、電子機器を生産する工業であり、電子機器は、コンピュータなどの産業用電子機器、民生用電子機器、半導体を中心とする電子部品に3分類されている。一方、情報サービス業は、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業等から構成される。情報産業は元来、コンピュータの発明により産業基盤を拡大してきた。電子部品、コンピュータそのものの発達、ソフトウェアの拡充、通信手段の発達とともにデジタル化という潮流が、産業界、労働、行政に波及し、広く社会全般を変化させてきた。ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ(情報の内容)、放送、通信事業は、類似性と革新性をもち、国際的な規模での社会経済の変革を随伴してきた。
 日本でのコンピュータ生産は、海外からの導入技術を基盤に、民需量産化路線により発展してきた。日立製作所はRCAと、三菱(みつびし)電機はTRW(現、ZF TRWオートモーティブ)と、東芝はゼネラル・エレクトリック(GE)と、沖電気工業はスペリーランド(現、ユニシス)と、日本電気(NEC)はハネウェルと、いずれも1960年代初頭、おもにアメリカ企業との提携を通してコンピュータ開発に乗り出している。一方、IC(集積回路)の開発は、アメリカのアポロ計画や1971年のマイクロコンピュータ開発等と連動して急速な発展を遂げ、生産の自動化やオフィスの効率化などに革新的な役割を果たすことになる。1962年(昭和37)にはNECがプレーナ(平坦化)技術を導入し、電子部品、IC生産を高度化している。他方で、1957年の「電子工業振興臨時措置法」(昭和32年法律第171号)公布以降、数次にわたる機械工業振興、情報産業振興に関する臨時特別措置法の制定にも支援され、1980年代には、日本のIC生産が世界をリードしていた。とりわけ、1976年に発足した半官半民の超LSI技術研究組合は、日本企業のメモリー分野での活躍に貢献している。また、日本国内のコンピュータ市場でIBMのシェアは低く抑えられ、富士通をはじめとする国産の大型機分野でのシェアが高まっていた。なお、21世紀を迎えるまでに100万人近いソフトウェア技術者が不足するといったソフトウェア・クライシスが指摘され、1988年には「頭脳立地法」(「地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律」昭和63年法律第32号)の制定に至り、地方でのソフトウェア事業が拡大した。[大西勝明]

日本の退潮

しかし、1990年代、ポスト冷戦期には、バブル経済の崩壊や貿易摩擦の激化等、競争環境が深刻化している。アメリカは、国際競争力の再生を意図し、1991年(平成3)に第二次日米半導体協定を結び、外国製半導体に日本市場の20%以上を開放するという条件を要請し、さらに、情報スーパーハイウェー構想、その拡大版の世界情報基盤(GII:Global Information Infrastructure)構想を提唱している。また1996年には電気通信法を制定、翌1997年には世界貿易機関(WTO)での基本的な電気通信事業の自由化を、1998年には電気通信市場開放についての多国間合意にこぎつけ、情報通信の国際化のみならず情報通信と金融事業の世界的な覇権を目ざした施策を展開している。
 さらに、この時期、韓国メーカーの飛躍や中国企業の台頭により、日本の優位は大きく揺らぐことになる。コンピュータ市場低迷のなかでパーソナルコンピュータ(パソコン)の生産額が最大となり、パソコンのMPU(マイクロプロセッサー・ユニットmicroprocessor unit)をインテル社、OS(基本ソフト)をマイクロソフト社のウィンドウズが過半のシェアを占めるウィンテル体制が確立している。他方、半導体のみならず、多角化を特徴とした日本企業の存立基盤が崩れ、巨額の赤字決算に陥っている。とくに、バブル経済の崩壊により金融機関の受けたダメージは大きかった。1991年の金融業務の国際的な第三次オンライン化の一巡化以降、予定されていた第四次オンライン化が挫折(ざせつ)している。1990年代初頭、情報サービス業において倒産が相次ぎ、最多の雇用調整助成金申請が行われ、ソフトウェア・クライシスとは異なる事態が生起している。そして、工業統計表(従業者4人以上の事業所)における電気機械器具製造業の従業者は、1991年の約198万人から1996年には約170万人へと約28万人以上減少した(2018年には約48万人)。日本の情報産業の衰退、アメリカの再生・強化、さらに韓国、中国、インドの躍進も続いている。そして、1994年にはアマゾン、1998年にはグーグルの創業があり、情報産業の新しい担い手が台頭してきた。[大西勝明]

情報の世紀

ブロードバンドからクラウドサービス(2006)の時代を迎え、情報産業は、ハード事業を縮小し、ソフトウェアやソリューション(問題解決型)事業、さらに情報の集積や解析業務を重視するという事業分野の改編にとどまらず、産業全体の動向に影響を与える中核的な役割を果たすことになる。情報技術、通信基盤が近代化され、IT(information technology=情報技術)やEC(electronic commerce=電子商取引)の拡充があり、IoT(モノのインターネット化)、産業用ロボット、AI(人工知能)が、戦略領域とされ、拡張している。技術基盤の充実、高速で高性能な新しい通信規格5Gの誕生や量子コンピュータの開発が21世紀を象徴している。デジタル化は、2進法を基盤とするが、アマゾンが発表したスーパーコンピュータを上回る性能の量子コンピュータは、2進法とは異なる論理で新たな可能性を開示している。コンピュータの発達とともにロボットの開発が進み、AI、機械学習の実用化も促進され、働き方や労働の業種間、職種間編成が変容している。いまや、生産、販売といった分野のみならず、リアルとバーチャルの融合を伴い、流通、金融、医療、農業といったあらゆる産業活動や地域展開などが情報化と連携し、再構築が進行している。そして政治、科学技術、軍事もが情報化を媒介に変革されている。たとえば、電気自動車生産の本格化等は、産業間融合を随伴している。この間、2004年にはフェイスブックの創業があり、2006年にはクラウドコンピューティングが定着し、2007年には、アップルが初代iPhone(アイフォーン)を発売するなど、インターネットを活用した新しい事業が続々登場した。GAFA(ガーファ)というのは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという4社の頭文字をとったものであるが、プラットフォーマーとされ、巨額な売上高、営業利益、当期純利益を短期間に達成しており、比類のない株価時価総額を記録し、強大な支配力を誇示し、経済秩序を改編している。情報産業は、新たな企業の参画と一部企業の淘汰(とうた)を伴うデジタル化を通して、既存産業のリニューアル化とまったく新しい業態を誕生させ、経済秩序だけでなく人々の生活を根本から変革しつつある。
 生産の自動化、オフィス・業務のオートメ化、電子商取引、物流のシステム化にとどまらず、フィンテックの拡充、スマートシティが具現化されている。加速する技術進歩が、社会や政治に大きな影響を与え、国際的な多岐にわたる急激な革新を引き起こしている。科学技術も、政治も軍事もが、情報産業と密接な関連をもって変化している。産業再編成が起き、新興国の展開や世界の政治、経済のあり方、国際的な覇権争いにも構造的な変化を招きつつある。
 他方、セキュリティや働き方改革、そして、GAFAによる寡占化の進行への対処が、これからの国際的課題となっている。課税問題のほか、深刻な競争制限的行為に対しては公正取引委員会等により、その認定には困難を伴いつつも規制が検討され、プライバシー侵害については個人情報の保護、擁護が主張されている。日本でも、EUの動向をも参照して情報産業規制が具体化しつつある。[大西勝明]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 情報の取り扱いに関する産業の総称。情報の生産、伝達、収集、記録、蓄積、検索、加工、提供などを取り扱う。一般にはコンピュータ関連産業をさすが、広義には新聞、放送、出版、広告なども含む。知識産業。〔電子計算機(1968)〕
※白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉一〇「あなたは、情報産業時代といわれる現代の、いわば最先端で仕事をしていられる」

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世界大百科事典内の情報産業の言及

【ニューメディア】より

…活字やアナログ信号による〈オールド・メディア〉に対して,1980年代に一般化しはじめるディジタル信号による〈新しいメディア〉を指す。英語ではnew media,newmediaの両表記を使うが,日本語では〈ニュー・メディア〉から次第に〈ニューメディア〉の表記になった。ディジタル信号による新しい電子メディアの意味でこの語を最初に用いたのは,H.M.エンツェンスベルガーが早い。彼は,〈メディア論のための積木箱〉(《Kursbuch》1970年3月号)のなかで,〈neue Medien〉という言葉に特別の意味を込めた。…

※「情報産業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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