経済および産業の発展に関する重要事項を調査・審議する経済産業省所管の審議会。1964年(昭和39)に通商産業大臣の諮問機関として発足し、中央省庁再編に伴って、2001年(平成13)1月から根拠法が経済産業省設置法第6条となった。略称は「産構審」。委員は民間企業経営者や学者が務め、歴代会長は旧経団連時代から日本経済団体連合会会長が務めることが多い。2015年8月時点で委員17名、臨時委員2名である。任期2年。産業構造の改善、経済活力の向上、対外経済関係の円滑な発展などの重要事項のほか、(1)割賦販売、ローン提携販売、割賦購入斡旋(あっせん)、前払式特定取引、(2)商品市場取引、(3)消費生活製品の安全性、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、特定継続的役務提供、(4)工場立地法、航空機工業振興法、自転車競技法、小型自動車競走法などの権限事項の処理、などを所管する。具体的なテーマごとに部会や分科会、小委員会を設け、報告書を提出する。
産業構造審議会は中央省庁の再編前には、旧通産省が所管する業界再編や自由貿易の推進だけでなく、日本経済の構造改革や環境、社会保障、財政、規制緩和など他省庁の所管する課題についても審議・答申する傾向があった。中央省庁再編後は、おもに首相直属の経済財政諮問会議、規制改革会議、産業競争力会議などが日本経済の大きな課題について審議し、産業構造審議会は個別産業の課題や消費者保護に議論の軸足を移している。
[矢野 武 2017年6月20日]
通商産業大臣の諮問に応じて,産業政策を推進するための答申を出すべく調査,審議する通産省の付属機関。略称,産構審。1964年4月に,それまでの産業合理化審議会および産業構造調査会を統合して発足した。当時,日本はIMF8条国への移行等海外から資本の自由化を迫られ,国内の産業政策転換が急務であった。審議会は総合部会を頂点として,産業資金,流通,情報産業,鉄鋼,アルミニウム,化学工業,繊維,住宅・都市産業,紙パルプなど20の部会で構成され,審議会令によって委員は130人以内,ほかに臨時委員,専門委員を置くことができ,各委員とも非常勤の国家公務員となる。任命権者は通産大臣。毎年,産業構造の長期ビジョンを発表するほか,種々の提言を行っている。84年1月,アメリカ政府は審議会にアメリカ政府や企業の代表者を参加させてほしいと申し入れた。アメリカ議会の公聴会では日本側の証言を聞く場があり,日本も政策立案の初期にアメリカ政府と事前協議する体制が求められているわけである。
執筆者:北原 正夫
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