惣地頭(読み)そうじとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「惣地頭」の意味・わかりやすい解説

惣地頭
そうじとう

鎌倉幕府補任(ぶにん)した地頭の一形態。初期には関東陸奥において、郡単位の広域に置かれた地頭をいった。その後、建久年間(1190~1199)以降、鎮西(ちんぜい)で小規模領主である名主(みょうしゅ)層が名主職(しき)や地頭職を幕府から安堵されるようになると、これらを統轄するため、重複する地域に東国の有力御家人が惣地頭として補任され、惣地頭―小地頭(こじとう)という関係が成立した(『御成敗式目』38条)。この意味の惣地頭は鎮西独特のものである。

 なお、鎮西以外で郡単位で任じられた地頭を惣地頭という場合があるが、中小規模の荘郷地頭を統轄し、相互に連合せしめる機能をもつという点では共通している。また、武士団一族内部で惣領を意味する地頭も惣地頭といわれる場合があるが、上記のそれとは性格が異なる。

[木内正広]

『鈴木國弘著『在地領主制』(1980・雄山閣出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「惣地頭」の意味・わかりやすい解説

惣地頭
そうじとう

(1) 鎌倉時代庶子分割相続された小地頭職を統轄支配した惣領地頭。 (2) 鎌倉時代,主として西国に補任された関東の有力御家人で,在地土豪の小地頭の上におかれた。多く短期間で交代し,任地に下向する者も少なかったので,得分権化し,支配関係が生じることはまれであった。 (→地頭 )

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