愁文(読み)うれえぶみ

精選版 日本国語大辞典 「愁文」の意味・読み・例文・類語

うれえ‐ぶみ うれへ‥【愁文】

〘名〙 気持状況などを訴えるために朝廷などに出した文書訴状。愁え状。嘆願書。請願書
※宇津保(970‐999頃)あて宮「うれへぶみをつくりて、ふんばさみにはさみていでたち給ふ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愁文」の意味・わかりやすい解説

愁文
うれいぶみ

中世において、ある事柄について上位者の裁可を求める嘆願書の一種愁状(うれいじょう)ともいう。解状(げじょう)あるいは申状(もうしじょう)を文書の形式とする。事書(ことがき)や書止めの部分に愁状と記され、自己の窮境、不安への憐愍(れんびん)を求めるという法意識を示している。その具体的内容は、貴族官職への補任(ぶにん)を請願する愁状から、荘民(しょうみん)の本所への年貢減免などの愁状に至るまで多種多様である。用例は平安~鎌倉時代に多く、中世後期になるにしたがって減少する。

[保立道久]

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